CAR

2024.06.29

フェラーリ、V12エンジン搭載の新型スーパースポーツカー「12 Cilindri」が日本初上陸!

2024年6月11日、フェラーリ・ジャパンは5月にマイアミでワールドプレミアした、新型スポーツカー「フェラーリ12 Clindri(ドーディチ チリンドリ)」を都内でお披露目した。

車名はシンプルかつ大胆な“12気筒”

車名の「12 Clindri(ドーディチ チリンドリ)」とは、日本語で「12気筒」を意味するもの。これほどまでにダイレクトで大胆な車名は、フェラーリゆえのものといえるだろう。

ボディサイズは全長4733mm、全幅2176mm、全高1292mmで、ホイールベースは2700mm。乾燥重量は1560kg。前後重量配分は48.4:51.6。

フェラーリは伝統的にフロントミッドに自然吸気V12エンジンを搭載する、2シーター(もしくは2+2)のスポーツカー「Berlinetta(ベルリネッタ)」をつくり続けてきた。ジェントルマンドライバーが自らのドライブでサーキットへと向かい、そこでフルスロットルでの走行を楽しみ、そのまま帰宅できるようなスポーツカーをコンセプトとしたものであり、「12 Clindri」はその系譜を受け継ぐものだ。

エクステリアは1950〜1960年代のグランドツアラーをインスピレーションとして、ロングノーズ+ショートデッキという古典的なプロポーションにSFや宇宙船といった未来的な要素を組み合わせることで、これまでにないフォルムを生み出している。

SFのような要素を加えたこれまでにないデザイン。黒のフロントノーズは往年の名車「365GTB/4(通称デイトナ)」を思わせる。
リアのスタイルはスポイラーのかわりに、リアスクリーンと一体化した2つの可動フラップを採用。これにより特徴的な三角形のテーマを作り出している。

一方でインテリアは、「ローマ」や「プロサングエ」にも採用されているデュアル・コックピット・アーキテクチャーをもとに、キャビンはほぼ左右対称な構造となっている。15.6インチのドライバー用ディスプレイをはじめ、10.25インチのタッチ式センターディスプレイ、そして助手席用の8.8インチと3つのスクリーンを配置している。

ダッシュボード上部が浮いているようにも見える未来的なインテリア。内装材にはリサイクルポリエステルを65%使用したアルカンターラなど、サステナブルな素材を採用する。

そしてハイライトとなるV12エンジンは、自然吸気ながら最高出力830PSを発揮。最高回転数は9500回転と、この数字を見ただけでタダモノではないことがわかる。またコンロッドをチタン製にすることで、従来のスチール製よりも回転質量を40%低減。

さらにはピストン、クランクシャフトも軽量化し、F1由来の技術を使ったバルブトレインなども採用する。組み合わせるトランスミッションは8速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)で、最新のプログラミングによりすべてのギアで小気味好い変速を実現。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は340km/hに到達するという。

フロントミッドシップに搭載する6.5リッターV12エンジン。最高出力830PS、最大トルク678Nmを発揮する。

もちろんフェラーリであっても、世界的な電動化の波を避けることはできない。すでに「SF90」や「296」シリーズといった、プラグインハイブリッドモデルをリリースしている。またランボルギーニもV12エンジンにモーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドのスーパーカー「レヴエルト」を発表している。そんななかで、あえて自然吸気のV12エンジンにこだわっているのはなぜなのか。

日本での発表会に際して、イタリア本社から来日していたヘッド オブ プロダクトマーケティングのエマヌエレ・カランド氏は、その問いに対して次ように答えてくれた。

自然吸気のV12エンジンは、我々のDNAなのです

「フェラーリのラインアップにおいて、V12の自然吸気エンジンがないということはあり得ません。これは我々のDNAであり、代わるものはないのです。ですから今回の“12 Clindri”も、こうであるべきだという考えから開発がスタートしました。いまだ世界中に、12気筒を愛するお客様がたくさんいらっしゃいます。

企業的な観点においても、我々はこれからも12気筒エンジンを開発し続けていきます。そして、日本は我々にとってトップ5に入る特別な市場です。日本におけるフェラーリの歴史は長く、日本のお客様はラグジュアリーやイノベーション、クラフトマンシップやヘリテージなど、それらに関してとても知識が豊かです。まさに12気筒に適した市場であり、日本の方々ならこの12気筒の価値をご理解いただけると思います」

発表会のためにイタリア本社から来日したフェラーリのヘッド オブ プロダクト マーケティング、エマヌエレ・カランド氏(写真左)と、フェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ代表取締役社長。

そうしたフェラーリのすごい点は、このエンジンを最新の燃焼技術などを駆使して現行の排出ガス規制(Euro6E)に準拠させているということだ。通常であればターボ技術を使って排気量をダウンサイジングするか、ハイブリッド化するかで対応するところだが、あくまでも自然吸気へとこだわり続けている。まさに長い歴史を重ねてきた“ベルリネッタ”への矜持ということだろう。

「12 Clindri」の国内車両価格は5674万円〜。納期は2025年頃を予定している。

オープントップバージョンの「12 Clindriスパイダー」(写真右)もラインアップする。

TEXT=藤野太一

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