フェラーリ初の4ドア4シーター「プロサングエ」の国際試乗会がイタリアで開催され、本誌前編集長の二本柳陵介が参加した。以下、二本柳がリポートする。連載「NAVIGOETHE」とは……
ベストセラーの条件を備えた、最新の4ドアフェラーリに驚嘆
今回、試乗の舞台となったのは、イタリア北東部の世界的なウィンターリゾートとして名高いドロミーティ。3000メートル級の山々が連なり、絶景のワインディングロードが続く、フェラーリをドライブするには絶好の場所だ。
拠点となるリゾートホテルで対面したプロサングエは、特にフロントのデザインが印象的だった。品格が漂う一方で、王者感というか、人を惹きつける存在感があって、フェラーリのDNAを引き継いでいると感じたのだ。
走り始めてまず印象的だったのは、快適性の高さ。街中を流している状況では、ミッドフロントのV12エンジンを忘れるほど静かで、道路も荒れていたのだが、乗り心地もよく、高級サルーンのように快適なのだ。
多面性を備えたフェラーリ初のオールラウンドスーパーカー!
プロサングエにはドイツのハイエンドオーディオ、ブルメスターの3Dサラウンド・サウンドシステムが備わるが、これにもいい意味で予想を裏切られた。
フェラーリはエンジン音を楽しむクルマだからオーディオには正直期待していなかったのだが、素晴らしい音質なのだ。低音が心地よく、奥行きの深いサウンドで、ボーカル曲では、シンガーの息づかいまで感じられる。4ドア車だから、ドライバー以外の人も心地よく過ごせる車内に仕上げられているのだろう。
試乗の舞台が市街地からアウトストラーダ、そして山岳路へ移る頃には、プロサングエでのドライブにも慣れ、少しずつペースを上げていった。0-100㎞/h加速が3.3秒、最高速度が310㎞/hと、途方もないパフォーマンスを誇る同車だが、アクセルペダルを深めに踏みこんでも加速がなめらかで、V12の甲高いサウンドも心地いいボリューム感なのが印象的だ。
「SPORT」「COMFORT」「WET」などのドライブモードをセレクトすることで、新開発のフェラーリ・アクティブ・サスペンションをはじめ、さまざまなセッティングを最適化するマネッティーノにも驚いた。ステアリングの赤いスイッチを切り替えると、俊敏なスポーツカーにも快適なサルーンにもガラリと性格が変わる。さまざまなタイプのクルマに1台で接することができるようで、そんな多面性に感嘆させられたのだ。
編集者として、これまで数々の書籍も担当してきた私だが、ベストセラーを出すためには、個性的かつ唯一無二であること、著者自身に他者と違うストーリーがあること、そして、世界観やデザインを含めて清潔感があることの3つが大事だと思っている。当然フェラーリにもそれが当てはまるわけだが、その意味で今回の4ドア4シーターも紛れもなく“跳ね馬”の一員であり、多くの支持と憧れを集めるのだと確信した。
Ferrari×SUV
FERRARI PUROSANGUE
フェラーリ史上初となる4ドア4シーターモデル。イタリア語で純血種(=サラブレッド)を意味する車名のとおり、伝統のV12エンジンをミッドフロントに搭載するなどフェラーリのDNAを受け継ぐ。いわゆる観音開きの4ドアに大人4人が快適に過ごせる室内、そして従来モデルより高い地上高が最大の特徴。
<SPEC>
ボディサイズ:全長4,973×全幅2,028×全高1,589mm
ホイールベース:3,018mm
車重:2,033㎏
駆動方式:4WD
最高出力:725cv/7,750rpm
最大トルク:716Nm/6,250rpm
価格:¥47,600,000~
問い合わせ
フェラーリ・ジャパン www.ferrari.com/ja-JP
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