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2022.11.03

【試乗】フェラーリ史上初の電気自動車! 「SF90 ストラダーレ」&「296 GTB」

電気だけで走れる史上初のフェラーリが誕生! 今回は、フェラーリ「SF90ストラダーレ」と「296 GTB」をご紹介。連載「NAVIGOETHE」とは……

電気だけで走れる史上初のフェラーリ。その先鞭をつけたのがシステム出力1000psを発生するPHEV(プラグインハイブリッド)の「SF90ストラダーレ」¥54,360,000。2座・ミドシップとしては、初の4WDモデルでもある。そして、フェラーリを名乗るロードカー初のV6エンジン搭載モデルにして、SF90に次ぐ2番目のPHEVが「296 GTB」¥37,100,000。ともにフェラーリ電動化時代の先駆となる2台の跳ね馬だ。

電動化時代の幕開けを告げる2台のサラブレッド

フェラーリは2022年6月、これからの中期戦略を発表。’23年から’26年までの4年間に15車種もの新型車を誕生させると謳う。そのなかにはフェラーリ史上初の電気自動車という大きな話題も含まれており、スーパーカーブランドとして、魅力あるエンジン開発にこだわってきたフェラーリも、時流に合わせて電動化がよりいっそう進むことになる。

今回、そのフェラーリ電動化の第一歩ともいえる2台のプラグインハイブリッド(PHEV)モデル、「SF90ストラダーレ」と「296 GTB」を同時に乗り比べた。

まずステアリングを握ったのはSF90ストラダーレ。新設計された4ℓV型8気筒ツインターボエンジンに、リアに1個、フロントアクスルに2個のエレクトリックモーターを配置したPHEVモデルだ(このフロントアクスルのシステムはRAC-Eと呼ばれる)。

最高出力はトータルで1000psと、フェラーリ史上最高値を発生させる。しかもこの試乗車は、専用のカーボンリアスポイラーやサスペンションキットで武装した「アセット・フィオラノ」仕様。フェラーリのテストコース、フィオラノサーキットで徹底的に走りを鍛え上げられ、軽量化とともに専用パーツとチューニングでレーストラック用に最適化したものだ。

ガレージから発進してまず気づくのは、ミッドのV型8気筒エンジンが始動していない、つまりフロントのエレクトリックモーターのみで静かなFWD走行をしているという、ある種の違和感のようなものだった。ちなみにこの電動走行では、最高速度160㎞/h、最大25㎞の航続距離が可能という。

システム出力1000psの最高出力を解き放つ機会は、およそ日本の公道上には存在しない。

アクセルを強く踏みこんでみると、圧倒的な速さはもちろんのこと、モーターのシームレスな加速とエンジンの強力なパワーを、そして優秀なエアロダイナミクスによる抜群の安定感を感じることができる。アセット・フィオラノのフットワークは確かに一般道ではややハードにすぎる印象だが、サーキットではミシュラン製のパイロットスポーツ・カップ2タイヤとのマッチングも、おそらくはベストに感じるものなのだろう。それがニュートラルで心地よいコーナリングを巧みに演出しているのだ。

右:SF90 ストラダーレ。左:296 GTB。

それではもう一方の296 GTBはどうか。まず感動したのはボディラインの美しさだ。まるで1960年代の250LM、すなわちミッドシップGTの始祖ともいえるモデルに似たリアセクションの造形が特に印象的だが、そこは最新のフェラーリ。伸びやかなボディ構成と近未来的なディテールで、圧倒的美しさを演出している。

メカニズム面での話題は、やはりPHEVシステムの採用と、こちらも新開発された2.9ℓのV型6気筒ツインターボ。120度というバンク角を持つこのエンジンは、結果エンジンの搭載位置や低重心化に成功している。

ちなみにエンジン単体の最高出力は663ps、これにエレクトリックモーターを組み合わせると、システム全体の最高出力は830psに達するという。ミッションは8速DCT。駆動方式はSF90ストラダーレとは異なり、オーソドックスなRWDだ。

実際の乾燥重量は1470㎏ということだが、ワインディングでの296 GTBはその重量をいっさい感じさせることなく、マン・マシンの一体感を味わわせてくれながら、ひとつひとつのコーナーをクリアしていく。さらにV6エンジンからのエグゾーストサウンドは、「ホットチューブ」と呼ばれる特許技術を採用。

ドライビング中は最も心地よいBGMとなるよう周波数や音量を調整しているというが、296 GTBとの対話を愉しんでいると、高揚感溢れるこのBGMと刺激的なエグゾーストサウンドにより、ついアクセルを踏みこみたくなる衝動にかられてしまう。クルマの側で、さまざまな電子制御デバイスが常に安定方向に導いてくれていることは知ってはいても、ついワインディングではその一挙一動に喜びを感じてしまった。

フェラーリが15車種のニューモデルをすべて発表し終えるこの4年間で、スーパーカーの世界における電動化技術の革新は驚くべき速さで進むだろう。F1マシンでハイブリッド技術を磨き続けてきたフェラーリ。

EV開発に速さと高効率、パフォーマンスを求め、時代の最先端を駆っているフェラーリは、常にその最先端を走る。今回2台のPHEVモデルを試乗したことで、その“スピード”をあらためて実感した。

電動走行可能初の市販PHEV「SF90 ストラダーレ」

創業者エンツォ・フェラーリが設立したレース部門”スクーデリア・フェラーリ”90周年記念モデル。マラネロ製量産モデル初のPHEV車で4ℓV8ターボと3基のモーターを搭載する4WDカー。そのシステム最高出力は史上最強の1000psに達し、EVとして25km走る。トップスピードは340km/h!

上:バッテリーチャージ用のコネクターは車体後方の左側に備わる。下:バッテリーのみでのゼロエミッション走行は満充電で航続25kmを実現。

<SPEC>
ボディサイズ:全長4710×全幅1972×全高1186mm
ホイールベース:2650mm
車重:1570kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.9ℓV8 DOHC+ターボ
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:780cv(574kW)/7500rpm
エンジン最大トルク:800Nm/6000rpm
システム最高出力:1000cv(735kW)

フェラーリが示す未来への解答「296 GTB」

名車ディーノ以来となるV6ユニットを搭載する296 GTB。モデル名は2.9ℓのV型6気筒ツインターボエンジンから由来。さらにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、外部充電も可能に。ただしSF90のようなフロントモーターはなく、駆動は完全なMRとなる。次世代フェラーリが進むべき道を示したモデルだ。

上:221ps/ℓという量産車としては世界最高の比出力を実現している。下:未来的な感覚のメーターパネル。操作系はF1マシンと同じくステアリングに各種機能を集約。

<SPEC>
ボディサイズ:全長4565×全幅1958×全高1187mm
ホイールベース:2600mm
車重:1470kg
駆動方式:MR エンジン:2.9ℓV6 DOHC+ターボ
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:663cv(488kW)/8000rpm
エンジン最大トルク:740Nm/6250rpm
システム最高出力:830cv(610kW)

問い合わせ
フェラーリ・ジャパン www.ferrari.com

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TEXT=山崎元裕

PHOTOGRAPH=安井宏充(Weekend)

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