春爛漫の季節を思う存分満喫する方法としてドライブは最適だ。そんなドライブをともにしたいクルマを本誌連載「NAVIGOETHE」より紹介する。※GOETHE2021年8月号、9月号、11月号掲載記事を再編
まさにマジックカーペット・ライド! アウディ e-tron「Sライン」の実力とは?
「EVの時代になると、いろいろな企業が自動車産業に参入する」というニュースを見かける、確かに。EVは、言ってみればラジコンを精密にコンピュータ制御するようなシンプルな構造だ。これなら造れそうな気がするし、アップルやグーグルが造るロボットEVとか、アマンがプロデュースするリゾートEVなどなど、夢が広がる。
一方で、そんなに簡単か? という疑念もある。そんなことを考えながら、BEV(バッテリーに蓄えた電気だけで走る純粋なEV)のSUV、アウディ e-tron50クワトロ Sラインで、都内から長野県茅野までの約190㎞のツーリングに出発した。
ストップ&ゴーが連続する都心部では、EVのスムーズさに心を奪われる。同時に、エンジンの面倒くささを思い知る。燃料を噴射して、爆発させて、ピストンを動かして、それを回転運動に変換してタイヤに伝えるというエンジンの工程は煩雑だ。おまけに、ある程度まで回転を上げないと最大の力を発揮しないというわがまま者。対するモーターは、電流がピュピュッと流れた瞬間に最大の力を出してくれる。だからレスポンスがいいし、赤信号からの発進も力強くてストレスがない。
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ランボルギーニのスーパーSUV、ウルスに乗らない理由がない!
ーーランボルギーニジャパンが主催したウルスによる日本縦断ツアー。その名も「UNLOCK ANY ROAD(あらゆる道を解き放て)」。自動車ジャーナリストや媒体関係者が同社初のスーパーSUV、ウルスを駆って約1ヵ月、リレー方式で九州から北海道まで主要都市の全国縦断を行った。その一端を担うべく仙台〜福島〜宇都宮を鮮やかなイエローをまとった「パールカプセル」の闘牛とともに走破した。
出発当日は雨の降りしきるなかでの初対面だったが、エッジの利いた直線と六角形からなるヘキサゴンの造形で武装したウルスはとにかく目をひく。鮮やかなイエローも然りだ。乗る前からドライバーを挑発するスタイリングは遊び心を持つ男にはたまらない。ドアを開いてコクピットへと身を委ねてもなお、期待を裏切らない。赤いフラップカバーをあげ、エンジン始動ボタンを押す。と同時にV8エグゾーストの鼓動と低音による雄叫びがドライバーを牽制する。この儀式はまるで戦闘機のパイロット。ワクワクが止まらない。
仙台市街を流すと、体軀の大きさはまるで気にならないことに気づく。着座位置は高く、視界が広いから車両感覚はすぐに慣れる。しかも乗り心地は終始フラットライドで快適。ふいのギャップの突き上げは気になるものの、ファットな23インチの大径シューズながらも快適性が実現されている。普通に走ればエンジン音も静かなくらいだ。
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ロールス・ロイス、ファントムから派生したビスポークコレクション
オーナーにとって、それはまさにサプライズだったであろう。
大阪の中心地である梅田に位置するコーンズ コレクション梅田ギャラリーには、その日、朝早くから多くのスタッフが集まり、特別な1台の納車準備に取りかかっていた。通常はガラス張りのショールームだが、すべてのウィンドウはロールス・ロイスのワードマークがあしらわれたパープルのシートで覆われ、外からはまったく内部が見えなくなっていた。プラネタリウムのような天体照明の速度やBGMとのバランス調整。ゲストの動線と視線の動きの予想のもとに、迎えるスタッフの立ち位置や花束の渡し方のチェック。
そしてアンヴェールのタイミングや最初の声のかけ方まで。それらはすべて、たった1台の特別なクルマを納めるために行われる入念な準備であった。この日の主人公であるオーナーは夕刻に梅田ギャラリーを訪れ、自身の新しい愛車と邂逅(かいこう)を果たす。そのクルマこそ世界限定20台、日本では唯一の一台となるロールス・ロイス ファントム テンパス コレクションである。
そのデザインには宇宙や時間といったさまざまなテーマが含まれており、なかでも最も重要なポイントは天文現象のパルサー(pulsar)からインスピレーションを受けているということ。宇宙の巨人とも呼ばれるパルサーは、1967年に英国ケンブリッジの天文学者ジョスリン・ベルによって発見されたもので、規則的なパルス状の電磁波を放出しながら視界に入るすべてを照らしだし、その抗しがたい磁力で周囲を引き寄せる。宇宙の灯台としても知られるパルサーは、現存する最も正確な宇宙時計として、常に時を刻んでいるのだ。
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