春爛漫の季節を思う存分満喫する方法としてドライブは最適だ。そんなドライブをともにしたいクルマを本誌連載「NAVIGOETHE」より紹介する。※2021年10月号、11月号、2022年3月号掲載記事を再編
ルーフはおろかフロントガラスもない。究極のロードスター「マクラーレン エルバ」
世界限定149台、約2億円のプライスを掲げるマクラーレン エルバには、ルーフはおろかフロントガラスもない。その佇まいは、まさに究極のロードスターだ。
スーパーカー界は今、電動化と個性化というふたつの戦略を軸に動く。特に後者はそもそもスーパーであるために必須の条件だから、各ブランドとも積極的だ。フロントガラスレスは最近の流行り。その見栄えは強烈に個性的である。
エルバの場合、創始者ブルース・マクラーレンが’60年代半ばに設計したレーシングカーにそのモチーフがある。もちろん最新の空力によって構成されたウルトラモダンなデザインだが、シンプルかつダイナミックなそのスタイリングからは、かつてサーキットを席巻しマクラーレンの名を世界に知らしめたレーシングカーと同じ種類のオーラが放たれているように感じた。
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スーパーカーの弱点を克服したグランドツーリング「マクラーレン GT」
身につけているもののすべてに理由があるというマクラーレンのポリシーのもと、ツアラーという新たなスーパースポーツのステージ上に登場したマクラーレン“GT”。その存在理由もわかるドライブを九州の都市部から雄大な自然のなかで味わうことができた。
美しいフォルムはライバルたちと比べ200㎏以上も軽量かつエアロダイナミクスに極めて優れた機能/性能美を纏(まと)う。前後にラゲッジが備わるGTのとりわけ荷室後方のスペースは、GT独自の設計によりエンジン搭載位置に工夫を加えることで、ゴルフバッグやスキー板なども積載可能だ。
さらに意識的に後方ガラスエリアも大きくとられ視認性に優れる。これが実に感覚的な安心感にも繋がり、スーパーカーが最も苦手とする駐車時のストレスが軽減。日常のグロッサリーのハシゴも旅先でのスポット巡りも、積極的に行こうと思える点が素晴らしい。ちなみにマクラーレンの象徴的ともいえるディヘドラルドアもレーシングカーのような骨格構造を持つがゆえの乗降性への配慮であり、それは軽くスマートな所作を可能にしている。
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マクラーレンから意のままに操れる「McLaren 765LT SPIDER / 720S GT3X」が登場
スーパースポーツカーの楽しみ方はいくとおりもある。優美なスタイリングを愛(め)でるのもいいし、サーキットやワインディングロードで純粋なスピードに酔いしれるというのも、楽しみ方のひとつであるに違いない。
イギリスの名門F1チーム“マクラーレン”が手がけるスーパースポーツカーもまた、そういった歓びに溢れているが、それだけに留まらない。ドライバーが意のままに操れる扱いやすさ、という面でも、マクラーレンは傑出した存在なのである。
「扱いやすいスーパースポーツカー」という表現に軽い違和感を覚える生粋のクルマ好きも少なくないはず。しかし、同様の思想はF1グランプリを戦う最新のレーシングカーにも息づいている。なぜなら、レーシングカーの速さを引きだすレーシングドライバーもまた、ひとりの人間に他ならないからだ。
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