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2021.09.26

【試乗】ルーフはおろかフロントガラスもない。究極のロードスター「マクラーレン エルバ」

1963年にブルース・マクラーレンが設立したレーシングチームがブランドの始まり。その名はレースシーンを席巻し世界三大レース(F1・インディ・ル・マン)も制した。’90年代には3シーターのF1、2000年代にはメルセデス・ベンツSLRマクラーレンといった希少車を生産。そして’09年、レース部門から独立したマクラーレン・オートモーティブ設立。本格的なロードカーメーカーとなり、現在にいたっている。連載【NAVIGOETHE】Vol.61(前編)

McLaren Elva

限定車セナをベースにルーフとフロントガラスをなくしたスペシャルモデル。マクラーレン史上、最も軽量(乾燥重量1300kg以下)なオールカーボンボディのロードカーだ。特徴的なディヘドラルドアはそのまま。専用デザインのカーボンモノコックボディを有し、M840TRエンジンも最高出力815psにまで引き上げられた。生産台数は世界でわずかに149台。フロントガラス付きも選択できる。McLaren Elva ¥200,681,070~[予定価格]

2億円を掲げる究極のロードスター

世界限定149台、約2億円のプライスを掲げるマクラーレン エルバには、ルーフはおろかフロントガラスもない。その佇まいは、まさに究極のロードスターだ。

スーパーカー界は今、電動化と個性化というふたつの戦略を軸に動く。特に後者はそもそもスーパーであるために必須の条件だから、各ブランドとも積極的だ。フロントガラスレスは最近の流行り。その見栄えは強烈に個性的である。

エルバの場合、創始者ブルース・マクラーレンが’60年代半ばに設計したレーシングカーにそのモチーフがある。もちろん最新の空力によって構成されたウルトラモダンなデザインだが、シンプルかつダイナミックなそのスタイリングからは、かつてサーキットを席巻しマクラーレンの名を世界に知らしめたレーシングカーと同じ種類のオーラが放たれているように感じた。

途中で雨が降ったらどうするの? 愚問だ。走り切る。少々濡れてもいいように室内はデザインされているし、走ってさえいれば雨風は随分と凌げるからだ。空気のカーテンで乗員を包むアクティブ・エア・マネージメント・システム(AAMS)という機構も備わっている。空気のテントを張ることで前からの風の直撃を避ける仕組みだ。

実際、試乗会の朝は雨が降っていた。小雨が残るなかを走りだしたが、AAMSが働くと前から板が迫りでて、急に何かに包まれたような気分になる。走っているほうが快適になるのだ。

815馬力である。右足を注意深く踏みこめば、加速は非日常の極みだった。同社最軽量モデルを謳うだけあり、何より軽い。そして普通のオープンカーでは聞いたことのない空気を切り裂く轟音が鳴り響く。凄まじく速いけれども、ドライバーとの一体感もこの上ない。だから安心して踏んでいける。

カーボンファイバーを軸とした車体技術はすべてマクラーレンがモータースポーツフィールドから取得したものだ。サーキットと直結した仕事術こそが、マクラーレン製ロードカー最大の魅力というわけである。

 

マクラーレン エルバ

マクラーレン エルバ
ボディサイズ:全長4685×全幅2016×全高850mm
ホイールベース:3003mm
エンジン:V型8気筒+ツインターボ
排気:3994cc
最高出力:815ps
最大トルク:800Nm
駆動方式:MR
変速機:7DCT
乗車定員:2名
車両価格:¥200,681,070~[予定価格]

マクラーレン・オートモーティブの公式ウェブサイトはこちら

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魂を刺激する、見て・乗って・操る楽しさのあるクルマ。所有欲をくすぐるステータスシンボルから、クルマと対話できる生粋のスポーツカー、ヘリテイジのある一台まで、連載NAVIGOETHEでは、大人の我儘をかなえる、心躍るクルマを紹介する!

TEXT=西川 淳(エルバ)

PHOTOGRAPH=マクラーレン・オートモーティブ

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