アートウィーク東京が、今年2025年は11月7日から10日まで開催される。先日、メディア関係者向けに発表会があったので見学してきた。
東京を代表する53の美術館・ギャラリーが参加
都内の美術館、ギャラリー、アートスペースを無料のシャトルバスが結ぶユニークなアートフェスが「アートウィーク東京」だ。メディア関係者向けのツアーは、オークラ東京での概要発表やトークイベントの後、実際にシャトルバスで、青山、天王洲、銀座を回るものだった。
オークラ東京ではアンバサダーの鈴木京香さんとスペシャルゲストの山本美月さんの公開対談が行われ、まだアートを買ったことがないという山本さんに対して、鈴木さんが自身の経験から話をしてくれた。鈴木さんといえば、アートや建築に造詣が深いことで知られる。最近も吉阪隆正の名建築「VILLA COUCOU(ヴィラ・クゥクゥ)」を所有・継承したことで日本建築学会文化賞を受賞した。
鈴木さんが29歳のとき、初めてアメリカのオークションでパウル・クレーの作品を落札できて、そんな名品が自分のものになったことの喜びや信じられない気持ちだったこと、その後、草間彌生さんの絵を買ったことなども。
鈴木さんは『芸術新潮』2015年3月号でアートコレクションの一部を公開しているが、そこではパウル・クレー作品に入札(ビッド)したとしていて、落札したかどうかは明らかにしていなかった。編集部から渡されたインスタントカメラで鈴木さん自身がコレクションを撮影していて、クレー作品は写っていないものの、事務所に飾ってあるタカノ綾の絵、リュック・タイマンスの油絵、シンディ・シャーマン「Untitled Film Stills」シリーズ、荒木経惟の写真作品、シュテファン・バルケンホールの木彫、そして、130.3×162.0cmという立派な草間彌生《INFINITY NETS》が写っている。
AWT FOCUS、これは購入可能な作品によってキュレーションされる展覧会だが、今年は森美術館館長で国立アートリサーチセンター長の片岡真実さんが監修し、大倉集古館で「大地と風と火と:アジアから想像する未来」が開催される。
AWT FOCUS「大地と風と火と:アジアから想像する未来」(監修:片岡真実)出展作品例は以下のとおり。
さて、バスはまずは「AWT BAR」に。ランドスケープアーキテクト・戸村英子がデザインする今年の「AWT BAR」の空間で、⻘⼭「EMMÉ」の延命寺美也が考案したオリジナリルのフードと、アーティストによるカクテルを試食、試飲した。
AWT BAR会場は、emergence aoyama complex/港区南青山5-4-30。
次に訪れたのは、プラダ青山店6階のリジー・フィッチ、ライアン・トレカーティン「IT WAIVES BACK」。2人のアメリカ人アーティストによるインスタレーションと映像作品。
次はバスは天王洲に向かい、Takuro Someya Contemporary Artへ。大山エンリコイサム「Abstractions / Extractions」を鑑賞する。
そしてバスは銀座へ。ギャラリー小柳で「束芋|そのあと」を見る。束芋は1975年、兵庫県生まれ。現在、長野県に拠点を置く。2011年、第54回 ヴェネチア・ビエンナーレ 日本館の作家として、「束芋:てれこスープ」を発表するなど国内外で高い評価を受けている。
さらに、シャネル・ネクサス・ホールで「Everyday Enchantment 日常の再魔術化 ビアンカ ボンディ / 小林椋 / 丹羽海子」を見学してツアーは完了。
会期は11月10日(日)まで。一般の方は好きな施設に好きなルートで行けるので、機会があれば足を運んでみてほしい。
アートウィーク東京
会期:2024年11⽉7⽇(⽊)〜11⽉10⽇(⽇)
時間:10:00〜18:00
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協⼒:⽂化庁
アートウィーク東京モビールプロジェクト
主催: 東京都/アートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会
Yoshio Suzuki
編集者/美術ジャーナリスト。雑誌、書籍、ウェブへの美術関連記事の執筆や編集、展覧会の企画や広報を手がける。また、美術を軸にした企業戦略のコンサルティングなども。前職はマガジンハウスにて、ポパイ、アンアン、リラックス編集部勤務ののち、ブルータス副編集長を10年間務めた。国内外、多くの美術館を取材。アーティストインタビュー多数。明治学院大学、愛知県立芸術大学非常勤講師。