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2026.04.16

中田英寿「人生賭けてやる覚悟があるかないかだけ」。「CRAFT SAKE WEEK」祝10周年インタビュー

国内最大級の日本酒イベントとして注目を集め、これまで延べ125万人を動員した「CRAFT SAKE WEEK」。10周年を迎える今年、過去最長13日間の開催が決定。プロジェクトの中心を担う中田英寿氏が、今思うこととは。

中田英寿氏と日本酒
中田英寿/Hidetoshi Nakata
元サッカー日本代表。引退後2009年より日本全国を巡る旅を開始し、各地の農業・工芸・日本酒などの食文化を深く掘り下げる。なかでも日本酒は500を超える酒蔵を訪問。2015年にはJAPAN CRAFT SAKE COMPANYを設立し、日本酒開発や日本酒アプリ「Sakenomy」を手がけるなど幅広い活動を行う。

単なるイベントではなく、日本の伝統文化を未来へつなぐために

日本全国の酒蔵を巡り、その土地の気候風土やそこで暮らす人々の文化に触れてきた中田英寿氏。2016年に初めて開催された「CRAFT SAKE WEEK」も2026年で10周年。回を重ねるごとに認知度を高め、今では国内最大級の日本酒イベントとして日本のみならず、海外からも注目を集めるように。これまで500以上もの酒蔵を訪ね、真摯に日本の酒造りと向き合い続けてきた中田氏は“実りの10年”を、どのように見ているのだろうか。

「日本酒との出会いは2009年頃に遡ります。全国を旅するなかで伝統文化としての酒の魅力に気がついたんです」

土地に息づく日本酒文化を未来へと発展させるために

米と麹、水を原料とする日本酒は、いわばその土地の性質を表すもの。同じ地域でも味わいに違いが出るのは、造り手の思想や個性があればこそだ。蔵元と交流しながら知見を深めるなかで、中田氏は日本酒の魅力を肌身で感じるとともに、たくさんの課題があることにも気がついた。情報量の少なさのほか、自身で足を運んだ飲食店では流通管理や保管状態によって品質が大きく変わってしまうと感じたという。

「日本酒の素晴らしさを多くの人と共有したい」という気持ちはもちろんあった。しかしそれ以上に、日本のいにしえからの伝統文化を未来へ継承するためのプラットフォームを、いかにして構築するかという中田氏の思いが「CRAFT SAKE WEEK」の今日の発展につながっている。

「酒蔵や飲食店の皆さんと二人三脚で力を合わせてイベントをつくり上げてきましたが、今後はさらに多くの人と心をともにしながら前進していく必要があります。目的はあくまで日本文化の継承と創生。そのためのひとつのコンテンツである『CRAFT SAKE WEEK』に注目していただけるのは本当に嬉しいことです」

この10年、順風満帆といかないことも多々あった。

「でも収益性や目の前のことだけにとらわれて途中で諦めるくらいなら、最初からやるべきではない。少し話は逸れますが、僕がサッカーでイタリアに移籍するとなった時も賛否があって。絶対行かないほうがいいという意見もあったけれど、そんなのはどうでもいい話ですよね。要は自分が人生賭けてやる覚悟があるかないかということだけ」

心を決めて続けていくと、どんどんと見えてくることもある。

「もっとこうしたほうがいいとか、しばらくこの方向性でいこうとか自分のなかでわかってくる。『CRAFT SAKE WEEK』は出品された酒の売れ行きや似た味わいの銘柄のなかでランキングを出すなど、詳細なデータを取って蔵元にフィードバックするシステムを取り入れているのですが、これもイベントを続けていくうちに生まれた発想です。そうすることで酒造りの新しいヒントにもなると思っています」

切磋する環境づくりが日本酒文化発展のキーに

常にアップデートを繰り返しながら発展してきた「CRAFT SAKE WEEK」は10周年という節目を迎え、2026年は過去最多となる130蔵が参加。中田氏をはじめ、日本酒の専門家やシェフ、ソムリエなど約200名が約400銘柄を試飲し、選出された“精鋭”が日替わりで登場する。1日ごとにテーマを設け、『実力派、通もうなる酒蔵の日』や『ブレイク直前、覚醒する新星の日』など、個性が異なるラインナップに毎日でも足を運びたくなる。

最終日は中田氏と親交の深い高木酒造の髙木辰五郎氏率いる「十四代」が大団円を飾るという豪華さだ。さらに今年は、弊誌の目玉特集であるゲーテイストとのコラボレーションも実現。中田氏をはじめ、秋元康氏、小山薫堂氏、見城徹が過去に「心に残るレストラン」として選出した5つの飲食店が出店する。日本酒はもちろん、食にも注力するイベントとあって、今回も中田氏と志をともにする名だたるレストランも参加。

「毎年、ゲーテイストでは頭を悩ませながら(笑)、その年の僕のベストレストランを選出させていただいています。見城さんに秋元さん、薫堂さんといった美食でならした方の心に響いたお店の皆さんにご協力いただけることで、イベントの鮮度がさらに高まると思います」

また2026年からレストラン好きにはおなじみの予約サイト『OMAKASE byGMO』がバックアップ。
会場内に唯一予約できるエリアとして「OMAKASE byGMO LOUNGE」も登場する。

「日本酒はもちろん、いずれは工芸品や農作物にもフォーカスしたい。最初に始めた時から僕個人のイベントにはしたくなかったんです。造り手や生産者の目線に立ち、ただのイベントではなく、カルチャーにすること。それにはもっと多くの人と手を取り合っていく必要がある」

中田氏が10年前に始めた“旅”は、まだまだ続いていく。

CRAFT SAKE WEEK×GOETASTE スペシャルコラボ
レストラン&メニューリスト

毎年恒例のレストラン特集「ゲーテイスト」と「CRAFT SAKE WEEK」によるコラボレーションが実現。秋元康氏、小山薫堂氏、中田英寿氏、見城徹の美食四兄弟の「心に残るレストラン」によるフードトラックが初日の17〜20日まで出店する。予約困難な話題店など錚々たる飲食店が勢揃い。

イタリアン|神泉「ess.」

2024年11月、実力派のイタリアンシェフ・北野敏庸氏と山口智也氏がタッグを組んでオープン。アラカルト主体、パスタは15種類以上を用意という大人のわがままをかなえるお店だ。北野氏は予約困難店だった「Lemon」(恵比寿)のシェフを務めていた人物。当時からの常連、秋元氏、小山氏、中田氏の推薦で2025年の「ゲーテイスト」に選出された。イベントでは得意のパスタも2 品提供。

ラーメン|祐天寺「Ramen Break Beats」

フランス料理をベースにイタリアン、和食で経験を積み、独学でラーメンの研究を重ねた柳瀬拓郎氏が2022年に開いたお店。秋元氏が「ラーメンの概念を超越」と感動した醤油ラーメンはフレンチのコンソメスープの手法で驚くほど透明感がありまろやか。美しいチャーシューや麺線など繊細な完成度で完全予約制の人気店に。今回は貝出汁の塩ラーメンのほか日本酒に合う限定メニューが販売される。

洋食|六本木「ウブ」

「“ウブ”だったあの頃」にタイムスリップできるような料理に、ラグジュアリーなお酒を合わせて懐かしさと豊かさが交錯する時間に身を委ねてほしい。そんなコンセプトのもと、グルメ活動家の見冨右衛門氏が代表を務める洋食屋兼バー。ナポリタンなどの洋食やファストフードの定番を食材の贅を尽くし、手間暇かけて提供している。「懐かしくて新しい」と小山氏がお薦めするチキンナゲットも登場!

中国料理|調布「吉春」

調布市国領という場所ながら、遠方からの常連客も多い注目店。吉林省出身の吉村千恵子氏、弟の隆一氏が生地から手作りし、注文ごとに目の前で皮をのばして具を包む水餃子と焼き餃子を楽しませてくれる。秋元氏が胃袋を摑まれた餃子は春菊やルッコラなど旬の野菜を取り入れたり、牛や羊、魚介を使ったりと10種以上の多彩な具も魅力だ。当日は餃子のほかに、吉林省の家庭料理も振る舞われる。

すき焼き|渋谷「厨 七代目松五郎」

すき焼きを看板商品に、フライドポテトを組み合わせたり、梅味の割下とカリカリ梅入り卵で提供したりと、イノベーティブなすき焼きや創作料理で人気を呼ぶ。料理長の藤井都士規氏は、既成概念に捉われない発想力で和洋中の食材・料理法をかけ合わせたメニューを2000品以上生みだす。見城がテレビ番組『人生最高レストラン』(TBS)で絶賛し話題となったキューバサンドも登場。必食だ。

CRAFT SAKE WEEK 2026with OMAKASE byGMO at ROPPONGI HILLS

日時:2026年4月17日(金)~29日(水・祝)15:00〜22:00(L.O.21:30)、土曜・日曜・祝日12:00〜21:00(L.O.20:30)
場所:六本木ヒルズアリーナ
料金:スターターセット¥4,800(オリジナル酒器グラス+飲食用コイン14枚)
※2回目以降の来場の際は、スターターセットの酒器グラスを持参すると、追加コイン購入のみで楽しめる。
HP:http://craftsakeweek.com

17日「祝・10周年、awa酒で乾杯の日」

浦霞(佐浦/宮城県)、七賢(山梨銘醸/山梨県)、七田(天山酒造/佐賀県)、出羽桜(出羽桜酒造/山形県)、出羽鶴(秋田清酒/秋田県)、南部美人(南部美人/岩手県)、人気一(人気酒造/福島県)、水芭蕉(永井酒造/群馬県)、陸奥八仙(八戸酒造/青森県)、渡舟(府中誉/茨城県)

18日「未来を作る、SAKE NEXTの日」

会津娘(髙橋庄作酒造店/福島県)、AKABU(赤武酒造/岩手県)、あべ(阿部酒造/新潟県)、新政(新政酒造/秋田県)、風の森(油長酒造/奈良県)、黄金澤(川敬商店/宮城県)、日日(日々醸造/京都府)、播州一献(山陽盃酒造/兵庫県)、山形正宗(水戸部酒造/山形県)、山の井(会津酒造/福島県)

19日「ニュースタンダード、進化する酒蔵の日」

雅楽代(天領盃酒造/新潟県)、産土(花の香酒造/熊本県)、笑四季(笑四季酒造/滋賀県)、賀茂金秀(金光酒造/広島県)、而今(木屋正酒造/三重県)、田中六五(白糸酒造/福岡県)、萩の鶴(萩野酒造/宮城県)、飛良泉(飛良泉本舗/秋田県)、吉田蔵 u(吉田酒造店/石川県)、若波(若波酒造/福岡県)

20日「継承と革新、SAKEムーブメントの日」

東一(五町田酒造/佐賀県)、義侠(山忠本家酒造/愛知県)、KURAMOTO(倉本酒造/奈良県)、翔空(ラグーン・ブリュワリー/新潟県)、獺祭 BLUE(獺祭/山口県)、名倉山(名倉山酒造/福島県)、春鹿(今西清兵衛商店/奈良県)、ぷくぷく醸造(ぷくぷく醸造/福島県)、LIBROM(LIBROM/福岡県)、若戎(若戎酒造/三重県)

21日「実力派、通もうなる酒蔵の日」

神蔵(松井酒造/京都府)、勝駒(清都酒造場/富山県)、月山(吉田酒造/島根県)、からはし(ほまれ酒造/福島県)、大那(菊の里酒造/栃木県)、たかちよ(髙千代酒造/新潟県)、ちえびじん(中野酒造/大分県)、にいだしぜんしゅ(仁井田本家/福島県)、春霞(栗林酒造店/秋田県)、ゆきの美人 (秋田醸造/秋田県)

22日「個性爆発、クリエイティブSAKEの日」

生粋左馬(有賀醸造/福島県)、渓流(遠藤酒造場/長野県)、紫宙(紫波酒造店/岩手県)、W(渡辺酒造店/岐阜県)、肥前蔵心(矢野酒造/佐賀県)、福和蔵(井村屋 福和蔵/三重県)、二兎(丸石醸造/愛知県)、御湖鶴(諏訪御湖鶴酒造場/長野県)、山城屋(越銘醸/新潟県)、大和屋善内(峰の雪酒造場/福島県)

23日「ブレイク直前、覚醒する新星の日」

阿武の鶴(阿武の鶴酒造/山口県)、永平寺白龍(吉田酒造/福井県)、我山(鶴見酒造/愛知県)、亀の海(土屋酒造店/長野県)、Q/A (三宅酒造/兵庫県)、真田六文銭(山三酒造/長野県)、narai(suginomori brewery/長野県)、Maison Aoi(葵酒造/新潟県)、森ノ醸造所(森ノ醸造所/北海道)、わかむすめ(新谷酒造/山口県)

24日「今どきスタンダード、フレッシュ&ジューシーの日」

稲とアガベ(稲とアガベ/秋田県)、一歩己(豊国酒造/福島県)、Ohmine(大嶺酒造/山口県)、上川大雪(上川大雪酒造/北海道)、光栄菊(光栄菊酒造/佐賀県)、天美(長州酒造/山口県)、天明(曙酒造/福島県)、haccoba(haccoba -Craft Sake Brewery-/福島県)、花邑(両関酒造/秋田県)、福海(福田酒造/長崎県)

25日「注目度MAX、今いちばん熱い酒蔵の日」

楽器正宗(大木代吉本店/福島県)、寒菊(寒菊銘醸/千葉県)、くどき上手(亀の井酒造/山形県)、冩樂(写楽)(宮泉銘醸/福島県)、常山(常山酒造/福井県)、信州亀齢(岡崎酒造/長野県)、鍋島(富久千代酒造/佐賀県)、初緑(奥飛騨酒造/岐阜県)、飛鸞(森酒造場/長崎県)、廣戸川(松崎酒造/福島県)

26日「至高が集う、CRAFT SAKE WEEK ザ・レジェンドの日」

磯自慢(磯自慢酒造/静岡県)、一白水成(福禄寿酒造/秋田県)、紀土(平和酒造/和歌山県)、黒龍(黒龍酒造/福井県)、作(清水清三郎商店/三重県)、仙禽(せんきん/栃木県)、天狗舞(車多酒造/石川県)、伯楽星(新澤醸造店/宮城県)、満寿泉(桝田酒造店/富山県)雪の茅舎(齋彌酒造店/秋田県)

27日「海と陽が育む、瀬戸内テロワールの日」

石鎚(石鎚酒造/愛媛県)、雨後の月(相原酒造/広島県)、亀泉(亀泉酒造/高知県)、川鶴(川鶴酒造/香川県)、雁木 (八百新酒造/山口県)、土佐しらぎく(仙頭酒造場/高知県)、文佳人(アリサワ/高知県)、美丈夫(濵川商店/高知県)、富久長(今田酒造本店/広島県)、山に雲が(川澤酒造/高知県)

28日「TOKYO最前線、関東オールスターズの日」

浅間山(浅間酒造/群馬県)、雨降(吉川醸造/神奈川県)、五十嵐(五十嵐酒造/埼玉県)、尾瀬の雪どけ(龍神酒造/群馬県)、甲子(飯沼本家/千葉県)、彩來(北西酒造/埼玉県)、東魁盛(小泉酒造/千葉県)、聖(聖酒造/群馬県)、望 bo:(外池酒造店/栃木県)、町田酒造(町田酒造店/群馬県)

29日「頂を極める、チーム十四代の日」

十四代(高木酒造/山形県)、出雲富士(富士酒造/島根県)、加茂錦(加茂錦酒造/新潟県)、玄宰(末廣酒造/福島県)、天賦(西酒造/鹿児島県)、東洋美人(澄川酒造場/山口県)、鳳凰美田(小林酒造/栃木県)、宝剣(宝剣酒造/広島県)、みむろ杉(今西酒造/奈良県)、よこやま(重家酒造横山蔵/長崎県)

レストラン

17日〜20日ess.」「Ramen Break Beats」「ウブ」「吉春」「厨 七代目松五郎
21日〜25日「SIIDA®×件」「まるや八丁味噌×山本屋」「田野屋塩二郎×弥之助」「山本山×ふじヱ茶房」「坂田信夫商店×歩兵」
26日〜28日「CHEFʼS」「La BOMBANCE」「SCHMATZ」「若狭」「焼肉じゃんぼはなれ」
29日「TACUBO」「L’Effervescence」「Team 石かわ」「鳥しき ICHIMON」「富麗華」

TEXT=小寺慶子(中田氏インタビュー)

PHOTOGRAPH=長尾真志(1枚目写真)

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