充実した人生を送るには、時にはノリと勢いも必要。財布とパスポートと旺盛な食欲(と屈強な胃袋)だけ持っていざ、ディープ感満載の美食のアジア弾丸ツアーへ。今回は台北往復24時間食いだおれ旅、3エリア目の「南機場夜市(ナンヂーチャンイェスー)」を紹介。【特集 エクストリーム旅】
ローカルな雰囲気が漂う穴場の夜市へ
「南機場はもともと飛行場があった場所で、夜市のなかでもディープな穴場」という前情報どおり、南機場夜市周辺はまるで映画のセットのような街並み。’60年代に建てられたという公営住宅を眺めていると、タイムスリップしたような気分になる。ローカルしか行きにくい場所にあるためか、寧夏夜市(ニンシャーイェスー)ほどの熱気はないものの情緒的な雰囲気に包まれ、台湾の原風景ここにありといった感じだ。
ミシュラン選定店以外にも餃子や胡椒の人気店があるが、今回は“しばり”があるため、21時半閉店の「臭老闆(チョウラオバン)」へと急行。ここで人気の臭豆腐は、台湾で愛される発酵食で、その独特な匂いから外国人には苦手といわれることの多い“鼻つまみもの”だ。店の前まで重い腹と足を引きずりながら行ってみると、意外なことにあの刺激臭があまり感じられない。
席に着き、小辛の臭豆腐を注文。ここでは普通から激辛まで6段階の辛さを選ぶことができるのだ。一般的な臭豆腐より匂いがマイルドな理由を尋ねると「美味しいのは臭わない!」という非科学的な回答だったが、よくよく聞けば、ここでは豆腐を揚げるのではなく蒸しているため、食べやすいのだそう。
駆け足で「阿南麻油雞(アナンマーヨーヂィ)」へ向かい、鷄腿と麻油乾麺線でとどめを刺す。スマホの時計は21時を示している。お腹がはちきれそうでたまらなく9(苦)るしい……。
【3エリア目】20:00|南機場夜市
住所:台北市中正區中華路2段307巷~315巷
営業時間・定休日:17:00~24:00(店によって異なる)
旅人・小寺慶子
肉と酒を糧に生きる肉食系ライター。強靭な胃袋とフットワークの軽さを武器に国内外を食べ歩く。旅先では「郷に入れば郷に従う」のがモットー。
この記事はGOETHE 2024年4月号「総力特集:エクストリーム旅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら