幅広いジャンルの高級店が次々にオープン。ドバイのレストランはまさに百花繚乱だ。そんな業界で快進撃を続けるインド出身の女性起業家に直撃した。【特集 熱狂都市・ドバイ】
ブレない一貫性こそがレストラン経営で最も大事
「世界の富裕層はユニークな体験を求めています。高級レストランを成功させるためには、とにかく革新的なコンセプトを打ちだし続けるという一貫性が重要。特にドバイには、贅沢を知り尽くしたフーディーたちがやってきますから」
そう話すのは、ドバイの飲食シーンにおいて最もその動向が注目されている女性起業家、パンチャリ・マヘンドラさんだ。ドバイを拠点とするレストラングループ「アトリエハウス・ホスピタリティ」の代表を務め、UAEやサウジアラビア、インドで11のレストランを経営している。
「私は飲食業界でキャリアをスタートさせ、実に75以上のレストランの開業と運営を担当してきました。その過程で、米国を代表するレストランチェーンであるアルタマレアグループCEO、アマス・ファカハニー氏と出会って、意気投合。ともに働いた後、アルタマレアの出資を受けて、『アトリエハウス・ホスピタリティ』を起業しました」
ドバイは今、多くの名レストランがしのぎを削る美食都市。そんな競争の激しい業界において頭角を現し、結果を出し続けることは並大抵のことではないだろう。
「もちろん、大変なことはたくさんありました。しかし、それで私の仕事への情熱が失われることはありませんでしたね。周りの人たちに自分を認めてもらうために、1日18時間は働いてました。余談ですが、10代の頃はバスケットボールにひたすら打ちこんでいて、インド代表に選ばれたこともあります。根性には自信があるんですよ(笑)」
パンチャリさんによる最新のレストランが、「11ウッドファイアー」。“温かな焚火を囲んで集う”をテーマとし、薪で焼き上げるグリル料理が絶品だ。和牛ケバブや塩漬けした干し草とタマリンドで焼き上げたシーバスなどのメニューは、日本人の味覚にもよく合う。人気店が立ち並ぶジュメイラ地区でも一躍有名店となり、2023年ミシュラン1つ星を獲得した。
組織を動かすリーダーとして意識していることについて、こう話す。
「私自身が一番努力すること、ですね。だからこそ、チームが団結してエキサイティングな仕事ができるんです」
パンチャリさんは他にも、ドバイにおける女性の地位向上のための活動も行っている。今後どうレストランシーンを盛り上げていくのか、目が離せない。
11 Woodfire/イレブン ウッドファイアー
住所:Villa 11 75B St-Jumeirah-Jumeirah 1
営業時間:12:00~24:00(月曜のみ18:00~。土・日曜は10:00~12:30で朝食あり)
TEL:4-491-9000
座席数:130席
定休日:不定休
この記事はGOETHE2023年12月号「総力特集: ヒト・モノ・カネが集まるドバイ」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら