GOURMET

2023.03.29

こだわりの出汁でもてなす、神楽坂の型破りな日本料理店「KOMB」

伝統や自然の恵みをリスペクトしながらも既存のスタイルに縛られることなく、今の時代感を卓越したセンスで表現する若手料理人に注目。今回は、神楽坂の「KOMB(コンブ)」を紹介する。

「KOMB」の季節の鍋

コースのクライマックスとなる季節の鍋(料理はすべてコースの一例)。「大鍋のほうが味わいがいい」と中川一辺陶の鍋と炭火の水コンロで作り、ひとりひとりに取り分ける。写真は「鰯のつみれ鍋」。

丁寧な仕事で、食べる人の気持ちに寄り添う

神楽坂の裏路地、洋風のドアに白い暖簾の店構え、典型的な日本料理店を思い浮かべて店を探すと通り過ぎてしまう。店内の北欧モダン風なインテリアもまた予想外。

「カウンターにパスタがあっても違和感がない雰囲気にと、ベルリンで建築家をしている友人に設計してもらったんです」と話す店主・原田アンナベル聖子氏。

大学ではITを専攻していたが、料理好きが高じて懐石料理の名店の門を叩いたという。基礎をしっかり身につけたうえで『虎屋菓寮』の料理開発に携わり、伝統の進化に貢献してきた。

「KOMB」の原田氏

2022年3月に開業。型にはまらず、自分の生き方に合う店の在り方を模索する原田氏。

「KOMB」の店内

まるで原田氏の自宅に招かれたかのような心温まる空間。

独立して開いたこの店に「こんぶ」と名づけるほど日本料理の基礎となる出汁を大切にするのはもちろん、納得のいく生産者から季節の美味を取り寄せて正統な日本料理に仕立てている。

けれど「何か違う」と感じさせてくれるのは、客の満足度をより高めるためにひとつひとつの工程、例えば食べた時の香りや食感、その後に続く余韻をより美味しくより心地よく表現するには何にこだわり、どう表現したらいいのかを丁寧に考えているからに違いない。

「KOMB」の八寸

「八寸」。アンティークの器を使いながらも新しさを感じさせてくれる。

「KOMB」のふぐの白子豆腐

葛でゆるっと固めた「ふぐの白子豆腐」。

基本的に客を迎えるのは週3日だが、料理教室、惣菜の通販、弁当販売など多角的な経営も魅力だ。

コンブ/KOMB
住所:東京都新宿区若宮町5
TEL:03-3528-9894
営業時間:金曜18:00~、土・日曜12:00~/18:00~(6名以上で貸し切りの場合は、上記以外の曜日も可)
定休日:月~木曜
座席数:カウンター10席
料金:コース¥8,800(2023年4月より¥12,000に変更)

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=佐藤顕子

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