伝統や自然の恵みをリスペクトしながらも既存のスタイルに縛られることなく、今の時代感を卓越したセンスで表現する若手料理人に注目。今回は、渋谷の「SHIZEN(シゼン)」を紹介する。
薪火と発酵をテーマに日本料理の可能性を追求
名はもちろん“自然”のこと。そのうえ薪火で調理する日本料理と聞くと、串に刺した魚や肉を焚き火の周りに並べて焼く野趣溢れる光景をイメージしがちだが、店内は極めて静謐(せいひつ)な和モダンの空間。囲炉裏ではなく炉に美しく組まれた薪が炎を上げている。
「アルザスの日本領事館で働いていた時、現地の人が暖炉の薪で料理しているのを見て、日本料理にも応用できるのではと興味を持った」と話すシェフの國居優(くにすえゆう)氏。
帰国後、薪火料理と発酵を得意とする調布の『Maruta』で働きながら、日本料理ならどのように活用できるかを研究。「炭火よりも温度が低いので、口の中で食材の香りがふわっと膨らむやわらかな火入れができます」と國居氏。
ただし、炎から熾火(おきび)に、そして火が落ちていくまで変化が早い。その火をコントロールしながら炙ったり焼いたり炊いたり。絶妙な火入れで素材の味を引きだす。
加えて、自ら野山に入り採集した草花や木の実などを発酵させて作る自家製調味料も國居氏の料理の真骨頂。未体験の自然の味わいに感銘を受ける。
また、何においても好きなことを追求する國居氏が修業時代から買い集めてきた器の数々も見所だ。
シゼン/SHIZEN
住所:東京都渋谷区渋谷3-6-18 荻津ビル3F
TEL:なし
営業時間:土・日曜、祝日12:00~/18:00~、平日19:00~(一斉スタート)
定休日:火・水曜
座席数:カウンター7席
料金:おまかせコース(ペアリング込み)昼¥22,000、夜¥30,800
※予約はOMAKASEより受付