最強のレストランガイド「ゲーテイスト2022」から、自他ともに認めるワイン好きの小山薫堂が太鼓判を押す、驚きのワイン体験ができる店をピックアップ! ※GOETHE2022年7月号掲載記事を再編。
1.ペアリングがおもしろい! 軽井沢の発酵レストラン「Restaurant Naz」
おまかせコースは、鈴木夏暉シェフが北欧で学んだ発酵の技を駆使した約10品。料理の余韻と調和する自然派ワインや、発酵させたフルーツを使ったノンアルコールのペアリングも好評だ。
「発酵料理が中心の北欧っぽい感じなんですが、日本の食材を上手に使っています。コースの最初のほうに出てくるスペシャリテの『カブとサーモン』は、メイン食材の信州サーモンだけでなく、周りのカブやスープの材料のトマトも発酵させているんですよ。スープは目の前でお皿に注いでくれるんですが、トマトの発酵ソースにざくろの甘味といちじくの葉のオイルを加えたものだと言っていました。コース全体のなかに同じ味付けの料理がなくて、食べ飽きることがないのがすごいです。
ワインはその時の料理に合わせたペアリングで、どれも美味しくて、身体に負担を感じないワインでしたね。ペアリングのワインを飲みながらコースを食べ終わると身体の中の酵素が動きだしたという印象で、爽快感が感じられました。ぜひ行ってみてください」
2.すごいワインをさり気なく出してくれるワインバー「ラ シュエット」
オーナーはかつて都内で超高級ワインバーを4軒手がけ、オリジナルワインを造るために渡米した武居征吾氏。現地で開業したレストランは10年連続でサンフランシスコのミシュラン一つ星を獲得したが、コロナにより帰国。2021年3月にオープンさせたのが『La Chouette』だ。
「武居さんは超がつくほどのワインコレクターで、すごいワインをこれ見よがしでなく、普通に出してくれます。この前も白をお願いしたら、あの『スクリーミングイーグル』のソーヴィニヨンブランでした。
料理は奥様が作っていて、例えば『和牛すね肉の煮込み』とか、最近の若いシェフが作るような感じではない、安定感のある家庭的なフレンチが楽しめます。落ち着いていて、大人が使うには快適なお店です」
3.今が狙い目! 極上ワインがリーズナブルに飲める名門フレンチ「銀座レカン」
1974年に誕生したフランス料理の名店。メニューは料理長が交代するとすべてが一新されるため、創業時から続く料理は存在しない。2017年6月にリニューアルオープンし、現在はフランスで研鑽を積んだ栗田雄平シェフが8代目料理長として活躍中。ワインは1万6000本のストックがあり、すごくいいワインをリーズナブルに飲ませてくれる。
「老舗のグランメゾンですが、行くとやっぱりいい。でも、今の理由は、ずばりワイン。ワインの値段は最近どこでも驚くほど上がっていますが、ここはすごくいいワインをリーズナブルに飲ませてくれる。今こそ狙い目なんじゃないかと思うんです。
昔からいいヴィンテージを買って揃えているからで、例えばボルドーの’89年や’90年が2万円台で飲めたりします。ペアリングでもいいワインを出してくれますよ」