冬の金沢の楽しみは、風物詩「香箱ガニ」「ノドグロ」をはじめとする、冬の味覚から。金沢に行ったら、ぜひ訪れたいお店を紹介する。
美が宿る繊細な職人技に金沢の粋を見つける
出格子が続く金沢らしい街並みを求めて、観光客がひっきりなしに訪れる「ひがし茶屋街」へ。しかし、目抜き通りから一歩小路を入ると、一転して静謐な空気がただよう。
ミシュランの一つ星を獲得している「鮨みつ川 金沢本店」も、細いクランクの角にひっそりと暖簾を掲げる。2005年に店主・光川浩司さんが開いた店で、現在は一番弟子の生田崇さんが切り盛りしている。
「みつ川の鮨の真骨頂は ‟繊細さ‟です。それを自分の握りで表現していきたい」と生田さん。たとえば、透けるほど薄くおろしたイカに大葉をあて、細く刻んだ握り。ねっとりと甘いイカに、驚かされる。
金沢の冬の味覚といえば「香箱ガニ」。ズワイガニのメスである。みつ川の冬の名物は、香箱ガニの内子(卵巣)と外子(卵)を混ぜ込んだ酢飯に、カニ身・ウニ・イクラをのせた豪華なちらし鮨。漁が解禁されている約2ヵ月間だけ楽しめる、とっておきのご馳走だ。
8畳ほどの店内には、遠野檜のカウンターや、和紙を編んだ網代天井、観音下石の床石など、随所に厳選された素材が用いられており、空間自体がまるでひとつの工芸品のよう。
金沢の伝統工芸の大樋焼や、地元作家の酒器など、器にも店主の審美眼が光る。冬の食材とともに、金沢の風格を魅せてくれる。
鮨 みつ川
住所:石川県金沢市東山1-16-2
TEL:076・253・5005 ※完全予約制
営業時間:12:00~14:00、17:30~22:00
定休日:水曜
http://sushi-mitsukawa.jp/kanazawa/