GOURMET

2018.04.01

比良山荘|京都から1時間の山の中にある秋元康が絶賛の熊鍋

仕事に励む多忙な大人こそ、適度な息抜きと刺激が必要だ。地方都市に、郊外に、あるいは彼方の山奥に最善策はある。堪能すべき至高の美味を求めて。いざ、足を運ばん!

比良山荘

京都・祇園の芸妓さんも絶賛!

秋元 ゲーテイストではこれまでも地方の名店を紹介してきましたが、今回も「大人の遠足」ということで。まずは僕から。滋賀にある『比良山荘』は、まだご紹介してなかったですよね?

小山 話は出ましたが、初ですね。

見城 ぜひ紹介してよ。

秋元 京都から若狭に抜ける鯖街道沿いの山の中にあって、比良山系に登山する人たちのための山荘として1959年に創業したそう。現在は三代目の伊藤剛治(たけじ)さんが切り盛りされています。

見城 すごいところにあるね。

比叡山の奥の院であり、回峰行の要でもある古刹・明王院と地主神社の門前に位置する日本料理の名店。

比叡山の奥の院であり、回峰行の要でもある古刹・明王院と地主神社の門前に位置する日本料理の名店。

秋元 夏は鮎が有名なのですが、冬の「月鍋」が絶品。残念ながら見城さんの苦手なジビエです。

見城 それは非常に残念だな。でも相当旨いんだろ?

秋元 正直、今まで熊鍋は得意ではなくて。熊肉は独特の匂いがあるし、味噌仕立ての鍋で食べるのがどちらかというと苦手で。

小山 熊肉はクセがありますしね。

秋元 でもこちらの「月鍋」は「しゃぶしゃぶ」。木の実をたっぷりと食べて脂肪を蓄えた冬眠前の月の輪熊を、腕の確かな熟練の猟師がストレスなく仕留めたもので、血抜きやさばき方など処理もいいから臭みはまったくなし。赤身部分はほんのわずかしかなく、ほとんどが脂身です。しゃぶしゃぶした肉は、甘くて、柔らかくて、とろける食感。脂身のコクと深みがありながらあっさりと味わえる。牛やイノシシともまた違う、「究極のジビエ」。

小山 旨そうですね。

テーブルを備えたお座敷席。

テーブルを備えたお座敷席。雪見障子からは庭園が眺められる。「山荘」 と称するだけに宿泊も可能。

秋元 薄切りにした白い脂身の肉がブワッと大皿で登場する様は圧巻。三代目によれば「難しい話ではなく、この山には熊がいるから、名物料理として食べてもらおう」と考案したとか。昆布と鰹節がベースの特製出汁も「はちみつ」が隠し味。試行錯誤したそうですが、納得の相性。

見城 いかにも旨そうだね。ジビエ嫌いを克服したいよ。

秋元 三代目の伊藤さんやお店の方が鍋奉行をしてくれます。仕上げは手延べの生うどん。これがまた旨いのなんの。

見城 炭水化物は欠かせないね。

小山 『比良山荘』は祇園の芸妓さんたちが、やたらと行きたがりますよね(笑)。

秋元 そうそう! 祇園の芸妓さんに「どこか美味しいところを教えてよ」って聞くと、必ず『比良山荘』って答える。

見城 旨いものを知っているね。

秋元 京都駅からクルマで1時間ほど。店までの道のりも趣があって、まさに大人の遠足です。間もなくシーズンも終わりなので、ご予約はお早めに。

本モロコの焼き物。

本モロコの焼き物。希少価値 の高い本モロコは、12月から春先にかけての美味な旬の味覚。

比叡山の奥の院であり、回峰行の要でもある古刹・明王院と地主神社の門前に位置する日本料理の名店。

比叡山の奥の院であり、回峰行の要でもある古刹・明王院と地主神社の門前に位置する日本料理の名店。

月鍋。

月鍋(写真は4人前)。月の輪熊は、比良山系で冬季のわずかな時期にしか獲れない究極のジビエ。うっすらと美しいピンク色を帯びた脂身は、極めて上品で繊細。

鍋奉行がついて煮えばなを供してくれる。

鍋奉行がついて煮えばなを供してくれる。使いこまれ「炭火に育てられた」 という、信楽雲井窯「中川 一辺陶」作の土鍋で。ネギ、おたふく菊菜、セリなど、高島の旬野菜とともに。

出汁にしゃぶしゃぶとすると、くるりとまるまる。

出汁にしゃぶしゃぶとすると、くるりとまるまる。肉は甘く、柔らかで、とろけ るような美味しさ。※料理は一例。コース¥20,000 (サ別)。

Hirasansou
TEL:077-599-2058(完全予約制)
住所:滋賀県大津市葛川坊村町94
営業時間:11:30~13:00(最終入店)/17:00~19:00(最終入店)
休み:火曜(祝日の場合は営業)、月1回不定休あり
個室:7室(2名~24名)

TEXT=粂 真美子

PHOTOGRAPH=竹内稔彦

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