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2024.09.22

カリスマ校長・直伝。ブレストが失敗する最大要因を防ぐ方法

「いいリーダー」には誰でもなれます。生まれつきの才能はいりません。人気者でなくても大丈夫です。でも、リーダーになる人が必ず知っておかなくてはならない、とても大切なことがあります。それは……。数々の大胆な学校改革を実現し、各界からその手腕が注目されるカリスマ校長・工藤勇一氏。工藤氏が生徒たちに自ら「リーダーシップの基本」を講義した特別授業で伝えたこととは? 『15歳からのリーダー養成講座』から一部抜粋して紹介します。

「ブレスト」で大量のアイデアを集める

アイデアは、一人で悩んでいてもあまり出てきません。だからこそ、手段を考えるときは、できるだけ多くの人からアイデアを募ることが大事です。そうすると、リーダーが想像すらしていなかった、いいアイデアが出てくることがあります。

では、どうやってチームのメンバーからアイデアを引き出し、それをどうまとめたらいいのでしょうか。

学校では、「いいアイデアがあったら手を挙げて発言してください」といった形になりがちですが、もっと効果的な方法を覚えましょう。「ブレスト(ブレインストーミング)」と「KJ法」です。

アイデアを集めるときに使うのがブレスト。出てきたアイデアを整理するときに使うのがKJ法。基本的にセットで使うことがほとんどです。

実際の講座では、グループに分かれて何か発表してもらうときは、毎回この方法を使っています。ちなみにこれは、アイデア集めに限らず、チームが抱えている課題を洗い出そう、といったときも使えます。

ブレストのやり方は簡単です。

まず付箋ホワイトボードを用意します。付箋は参考書などに目印をつけるときに使う小さいものではなく、正方形のメモ帳サイズのものを用意してください。

そこに、その場にいる全員にアイデアを書いてもらいます。アイデアひとつにつき1枚。一人何枚でもいいです。5分や10分と時間を区切ると、みんな集中して書いてくれます。

書き終わったら、各自でホワイトボードに貼っていきます。どこに貼ってもかまいません。

ここまでは超簡単ですが、ブレストには4つのルールがあります。リーダーの役割はそのルールを全員にちゃんと伝えること、そしてルールが守られるように、その場をコントロールすることです。

ブレストのルールは次の4つです。

1 結論厳禁。人のアイデアを否定しない

2 自由奔放。何を書いてもOK!

3 質より量。とにかく多く!

4 結合改善。相乗り・付け足しOK!

2、3、4で共通しているのは、とにかく何でもアリで、できるだけ多くのアイデアを集めるのが大事ということです。考えが深い浅いは関係なし。善も悪も関係なし。実現できるかどうかも関係なし。少しでも多くアイデアを集めるのがブレストの目的です。

その場で何となく思いついたことでもかまいません。それを見た人が何かひらめいて、もっといいアイデアを思いつくかもしれないからです。それが4ですね。「このアイデアいいな」と思ったら、そこにどんどん乗っかってアイデアを付け足していっていいのです。

ブレストは「結論を出す場」ではない

はじめてブレストを経験すると、多くの人は、「ああ、アイデアを出さないといけないのか」と焦って、ものすごく真剣な表情で考えた末に、「うーん……このアイデアはやめておこう」と、アイデアを引っ込めてしまいます。

それはブレストを、「結論を出す場」だと勘違いしているからです。「ここで出されたアイデアのどれかが選ばれるんだ……」みたいにかしこまって考えると、完成度の高いアイデアを出さないとマズいと思いがちです。

だから4つのルールで一番大事なのが1です。結論を出さないし、出そうとする行為も禁止することです。ブレストがあくまでもアイデアを集める場であることを、メンバーに繰り返し伝える必要があります。

結論を出さないというのは、人のアイデアを否定しないという意味でもあります。結論を出そうとすることは、それ以外のアイデアを切り捨てようとする行為だからです。出されたアイデアは、どんなものでも絶対にそのまま受け入れてください。

実際にブレストをしていると、司会役が「否定しないでください」と言っているのに、「誰が書いたんだよこれ!」と怒り出すなど、人のアイデアにケチをつける人はいます。

そんな光景が普通になると何が起きると思いますか。みんな、自分が否定されたり、その場の空気が悪くなったりするのが怖くなって、アイデアを出さなくなるのです。

でも実は、現実の会議はそれが普通だったりします。僕もいままで、いろいろな会議に出席してきたのでわかります。

ブレストの仕組みを導入せずにアイデアを募ろうとすると、みんな会議とは物事を決める場だと思っているので、ほとんどの人が黙ってしまうこともあります。そして残念なことに、一部の声の大きい人のアイデアだけが通っていきます。

こうした事態に陥らないようにする仕組みが、ブレストなのです。

もしそれでも、ブレスト中に人のアイデアを否定する人が出てきてしまったら、そこは司会役の人がぜんとした態度で、「反対意見があるなら代替案としてそれを付箋に書いて、ここに貼ってください」と伝える必要があります。

僕の経験上、意見対立が起きそうな雰囲気があったら、ブレストをはじめる前に、「反対意見の後出しも全然OKです」と言っておくと、感情的な反応を見せる人が減ります。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:15歳からのリーダー養成講座
工藤勇一

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