餅は餅屋という言葉がある。何事もその道の専門家がもっとも優れているという意味のことわざだが、特に高級時計の世界では昔からその傾向があり、時計専業を求める風潮が強かった。しかし、そんな空気が今変わりつつある。

ジュエラーの本気が高級時計の“常識”に新たな楔を打ちこむ
そもそも歴史を紐解けば、以前のカルティエのようにジュエラーとして創造的な外装をつくり、ムーブメントを他社から購入して美しい時計に仕上げることは、珍しいことではなかった。またピアジェは時計工房としてスタートし、のちにジュエリーの製作にもフィールドを広げた結果、今のポジションがある。つまり高級時計とジュエリーは、シームレスな関係にあったと言えるのだ。
では現代のように、ジュエラーが時計を積極的につくるようになったのはいつからか。その嚆矢はブルガリだ。メゾンは1970年代に腕時計製造専門のブルガリ・タイム社を設立し、イタリアのデザインとスイスの技術を調和させた、創造的な時計の製造を始める。
時計という枠を超えた、デザインと機能の高次元での融合。そんなハイジュエラーの時計ならではの刺激が、高級時計業界に新しい風を吹きこんでいるのだ。
1.カルティエ|「ロンド ルイ カルティエ」パンテール メティエダール ウォッチ
その艶やかな姿に芸術性を宿す
カルティエの象徴を芸術的に表現。極薄の繊細な金箔で表現された重なりあう草の陰で、美しいパンテール(豹)が佇んでいる。

2.ハリー・ウィンストン|HW オ-シャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42mm
卓越した宝飾技法を惜しみなく投入
時間という宝物を表現する時計に地球が生みだした至宝、ダイヤモンドを計978個もセッティングした。世界限定5本。直営サロン限定販売。

3.ブシュロン|エピュールトゥールビヨン ウォッチ ペガサス
1858年に創業。時計の歴史も長い
創業当時から懐中時計を製作するなど、時計への愛情も深い。ダイヤルにペガサスをあしらいダイヤモンドで装飾。機構も宝飾も華やかだ。ユニークピース。

4.ピアジェ|ピアジェ ポロ 79
歴史を超越するゴドロン模様の魅力
1979年に誕生したモデルを現代的に進化。サテン仕上げとポリッシュ仕上げのパーツでつくるゴドロン(横縞)模様は、エレガントだが強烈な印象を醸しだす。

5.ブルガリ|オクト フィニッシモ マーブル トゥールビヨン
トゥールビヨン搭載でも極薄
搭載する「Cal.BVL268」の薄さは1.95mmで、深緑のヴェルデ・アルピ大理石を薄くカットしたダイヤルを用いてもケース厚は4.85mm。美と技の集大成と呼べる時計だ。

6.タサキ|バランス
静かな色気を軽やかに纏う
コンテンポラリーなデザインで人気のTASAKI。アイコンジュエリーである「バランス」のスタイルを時計にも取り入れた。淡い輝きのゴールドは、同社の独自素材だ。
