連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第51回は、オメガ「スピードマスター プロフェッショナル Ref.145.022」を取り上げる。
ダイヤルがブラウンチェンジした貴重な5thモデル
数あるヴィンテージウォッチのなかでも高い人気を誇るのが、オメガの「スピードマスター」。
1969年にアポロ11号の月面着陸に同行し、「スピードマスター」が“ムーンウォッチ”と呼ばれる以前、1957年に誕生した記念すべき1stモデル「CK2915」は製造期間が1957年~1959年の間で3つのバリエーションがあり、実機を見ることさえ難しいコレクターズピースとして珍重されている。
ヴィンテージに該当するのは1stから5thまでの手巻きモデルで、今回紹介する時計は5thにあたる。
5thの主な特徴は、4thから始まったリューズガードを採用したデザインと20mm幅のブレスレット、そして手巻きムーブメント「Cal.861」を搭載していること。
4thまで搭載されていた「Cal.321」から切り替えられた「Cal.861」は、1968年以降、マイナーチェンジを繰り返しながら50年以上も採用され続けている、ロングセラーの傑作ムーブメントだ。
こちらの1969年製の個体については、パーツの整合性やコンディションの良さもさることながら、“トロピカルダイヤル”であることが特筆すべき点。これほど美しくブラウンチェンジした例は珍しく、ヴィンテージウォッチとしての評価を格段に上げている。5thの初期モデルの特徴であるダイヤル外周に段がついたステップダイヤル、キャタピラブレス等のレア要素も満載だ。
また、裏蓋は月面着陸する前に製造されたことから、シーホースマークのみとなっているのも特徴。この年以降のモデルは「月に最初に行った時計」と刻印される事となる。このように、時代背景を知れるのもヴィンテージウォッチを買う楽しみのひとつだ。
このような好条件で出てくることは滅多にないレアな個体。ぜひ実機を手に取ってみてほしい。
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