連載「意欲的新作ウォッチ」の第153回は、ゼニス「パイロット ビッグデイト フライバック」を取り上げる。
デザインを刷新した「パイロット ビッグデイト フライバック」
長年、ゼニスの中核を担うコレクションであり、多くの時計愛好家を魅了し続ける「パイロット」コレクション。「ウォッチズ & ワンダーズ ジュネーブ 2023」で発表された新作では、新たに設計の見直しを図り、初期のパイロットウォッチやダッシュボード計器などの、ゼニスが1世紀以上前に定義したデザインコードを継承しつつ、現代的な文脈で再解釈を加えている。
全4モデルのうち、ここでフォーカスを当てるのが、繊細なディテールが光るブラックセラミック製ケースのクロノグラフ「パイロット ビッグデイト フライバック」だ。
42.5mm径の新しいケースデザインは、ラウンドケースの上に固定されたフラットトップ ラウンド型ベゼルを採用。ブラックセラミック製バージョンに関しては、全体にマイクロブラスト仕上げを施し、マットな質感に仕上げた。波型のグルーブパターンの文字盤は、時針、分針、秒針、アラビアンインデックス、日付表示などをすべてホワイトで統一することでクールな印象にまとめている。
肝心なクロノグラフとしての性能にも目を向けたい。搭載された高振動自動巻きクロノグラフムーブメントCal.3652は、ビッグデイトとフライバック機能を統合。オーバーサイズの日付表示は、ビッグデイトの両輪を0.007秒以内に進めて安定させる特許取得済みの機構を備えている。分厚い羊革の手袋をはめて操縦を行う飛行士のために考案されたフライバック機能は、ワンプッシュでクロノグラフ機能をゼロにリセットして再開できるため、停止せずに連続した時間を記録できる。
ブラックセラミックを用いたケースと同様、ヴィンテージテイストから逸脱できたポイントに挙がるのが、付属するブラックとカーキのコーデュラ・エフェクト ラバーストラップにある。つまり、このケースとストラップの組み合わせによって、「パイロット ビッグデイト フライバック」のスタイリングは、モダンな方向へと舵を振り切ることに成功しているわけだ。
すでに高級時計の世界で人気が定着しつつある黒の腕時計。一歩差がつくゼニスの本命クロノグラフをぜひともチェックしてほしい。
問い合わせ
ゼニス ブティック銀座 TEL:03-3575-5861
■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。