連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第8回は、ヴァシュロン・コンスタンタンの18Kイエローゴールド製のドレスウォッチを紹介する。
ジャガー・ルクルトの自動巻きムーブメントを採用した色褪せないドレスウォッチ
かつてスイスの時計産業は水平分業の製造方式が主流であり、サプライヤーが多数存在していた。とりわけ開発・製造の費用がかさむムーブメントについては、専門メーカーからエボーシュ(汎用ムーブメント)を仕入れることはごく当たり前だった。
この時代、名門マニュファクチュールであるジャガー・ルクルトには、優れたエボーシュメーカーとしての顔があり、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどの錚々たるブランドにムーブメントを提供していた実績がある。
今回紹介するヴァシュロン・コンスタンタンのドレスウォッチは、ジャガー・ルクルト製の自動巻きムーブメントCal.493をベースに、石数を17石から21石に増やしながら高級機らしい仕上げを施したCal.P1019を搭載する。
全回転式ローターを備えた厚みのあるムーブメントは、スタイリングの方向を決定付ける要因となっている。洗練されたダイヤルデザイン、小ぶりすぎない36mm径のサイズ感はタイムレスな魅力があり、古臭さは一切感じられない。それゆえ、現代のファッションに違和感なくフィットする。
気になる価格についても触れておこう。ヴィンテージウォッチの相場とは、あくまで需要と供給によって成り立つものだから、目利きであれば、優れたクオリティの時計を思わぬ値段で見つけることも不可能ではない。こちらのドレスウォッチに関しては、ヴァシュロン・コンスタンタンが手掛けた18Kイエローゴールド製の年代物であることを踏まえても、価格以上の価値がある1本だと言っても過言でない。
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江口洋品店・江口時計店 TEL:0422-27-2900
■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは……
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。