2021年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる"活きのいい"モデルを厳選する! 連載第57回は、ウブロの「ビッグ・ バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア」を取り上げる。
光の芸術を追い求めて辿り着いたウブロの歴史的な偉業とは?
限界への挑戦とは、まさに時計製造の歴史そのものである。ウブロが昨年発表したブレスレット統合型ケースを採用した「ビッグ・バン インテグラル」が、類を見ないユニークな進化を遂げた。
建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した「Less is more.(より少ないことは、より豊かなこと。)」という名言があるが、ここで取り上げる「ビッグ・ バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア」はその言葉を地で行く究極のラグジュアリーウォッチだ。
事のはじまりは2016年、「ビッグ・バン ウニコ サファイア」の発表まで遡る。このモデルがユニークであったのは、外装を透明化することで本来であれば見えないはずの時計の内部構造を可視化にしたことにある。このコンセプトをさらに推し進めたウブロは、サファイアクリスタル製の時計を次々と手掛けていく。近年では、実現が難しいと言われていたカラーサファイアクリスタルの開発に着手し、成功を収めている。
「ビッグ・ バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア」はこれまでウブロが出掛けたどの時計よりも透明性にこだわっている。そこで導き出した答えとは、サファイアクリスタル製のブリッジを用いた自動巻きトゥールビヨンキャリバーの採用と、サファイアクリスタルを用いてケースとブレスレットを一体化させることだった。これらの目標を実現させるためには、創造性はもちろん、熟練の加工技術が不可欠であった。
37の部品で構成される新型のケースは美しいムーブメントを収めるためにすべてを見直した。主な改善点は、目に見えるビスの大半を取り除いたことやその他のパーツをできる限りシンプルにまとめた点にある。
ブレスレットの製作も困難を極めた。総数165にも及ぶ部品の中で開発の鍵となったのが、ウブロが自社開発したチタニウム製のインサートだ。ブレスレットのリンクの両側に収まるように限界までサイズを落としている。
心臓部に搭載された「ウブロHUB6035 マニュファクチュール オートマティック トゥールビヨンムーブメント 」は、3つのサファイアクリスタル製ブリッジの効果により浮遊感を演出。全方向から光が届く仕組みになっており、光の芸術にたとえられる輝きを放つ。
徹底して無駄を省くことでこの時計が手にしたのは宝石以上の価値にある。その様は、まるで優れたアート作品のようである。
問い合わせ
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ TEL:03-5635-7055