元サッカー日本代表FWの大久保嘉人(43)がスペインで新たな挑戦を始めた。スペイン・カタルーニャ4部(スペイン10部相当)の新クラブでクラブダイレクターに就任し、日本人ストライカーの育成プロジェクトを始動。将来的にはラ・リーガ昇格を目指すクラブ作りにも乗り出す。

SOL NACIENTE始動。スペインのクラブで、日本人ストライカーを育てる
壮大なプロジェクトが動き出した。
2025年4月、家族とともにスペインへ移住する大久保嘉人が、スペインクラブのクラブダイレクターとして世界で通用するストライカーの育成に挑む。
「日本にはまだ知られていない埋もれている才能がたくさんあると思っている。自分が直接指導するなかでストライカーとして成長し、上のカテゴリーに挑戦してほしい」
昨季限りで活動を終了した「アルビレックス新潟バルセロナ」を引き継ぐ形で新クラブ「SOL NACIENTE(ソル・ナシエンテ=日出ずる国の意味)」を発足。スペイン10部相当リーグに参戦するクラブのトライアウトを2026年春、日本で実施する。
対象はFW、攻撃的MF、ウイングなど得点に関わるポジションの18〜23歳。合格者にはスペインでの生活費や語学学校費などを支援し、9月開幕の2026-2027年シーズンに同クラブでプレーする機会を提供するという。
目標は2040年ラ・リーガ昇格。大久保嘉人が描くクラブの未来
クラブが掲げる目標は、2040年までにスペイン1部リーグであるラ・リーガへの昇格だ。
しかし、勝利だけを追うクラブではない。育成を重視し、日本人ストライカーに出場機会を与えることを前提としたチーム編成を構想している。
この挑戦の背景には、大久保嘉人自身の経験がある。
長崎の名門・国見高サッカー部で、1年時は出場機会がほとんどなかった。しかし、2年時の一つの試合をきっかけに自信をつかみ、レギュラーに定着。3年時にはエースとして総体、国体、選手権の三冠を達成した。
プロ入り後はJリーグで3年連続得点王を獲得に輝くなど、歴代最多通算191得点をマーク。スペイン1部のRCDマジョルカやドイツ1部のヴォルフスブルクでも活躍した。
「プロジェクトを立ち上げた背景には、自分の選手としての経験もある。選手の成長は必ずしも連続的ではない。一つの試合や、一つの経験で大きく飛躍する可能性がある。日本で十分な機会を得られていない選手に飛躍のきっかけを提供したい」
家族でスペイン移住。語学学校に通いながらクラブづくり
2025年4月に家族でバルセロナへ移住。毎日、バスで約1時間かけて語学学校に通う。毎週のように進級テストが実施されるため、猛勉強の日々。すでに日常生活には支障のないレベルには到達している。
新クラブの構想の柱は三つある。
- 将来的に日本をW杯優勝に導くストライカーを育てる
- 見に行きたいと思ってもらえる観光名所のようなクラブをつくる
- アマチュアカテゴリーから本気でラ・リーガを目指す
実現のためには安定した財務基盤が不可欠だ。資金調達に向けて、大久保嘉人自身がパートナー(スポンサー)探しに奔走。イベントなどで帰国した際には、企業を訪問しプレゼンを行うことも多いという。
「このクラブは自分たちだけでつくるクラブではなく、ファンやスポンサー、パートナーの皆さんと一緒につくっていきたいと思っている」
2026年3月、自身のYouTubeチャンネル「おおくぼ家のまんま」でプロジェクトを発表した際には、「ここから一緒に世界を目指すクラブをつくっていきましょう」と呼びかけた。
根底にあるのは、現役時代に地中海に浮かぶマジョルカ島で約1年半過ごして生まれたスペインへの愛着と、自身を育ててくれた日本サッカー界への恩返しだ。
簡単な挑戦ではないことは百も承知。持ち前の行動力で新たな道を切り拓いていく。
大久保嘉人/Yoshito Okubo
1982年6月9日福岡県生まれ。長崎・国見高から2001年にセレッソ大阪へ入団。マジョルカ、ヴィッセル神戸、ヴォルフスブルク、川崎フロンターレ、FC東京などでプレーし、2021年に現役引退。Jリーグ歴代最多191得点。日本代表では国際Aマッチ通算60試合6得点。ワールドカップは2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会に出場。4男の父。身長1m70cm。

