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2024.08.28

遠藤航「周りの声は関係ない。”タイトルを取る”ために行動するだけ」

Jリーグからベルギー、ドイツを経て、イングランド・プレミアリーグの名門リバプールへと順調にステップアップしてきた遠藤航。「自分の成長」を常にモチベーションとしてきた遠藤だが、リバプールでプレーするようになってその考え方も変わってきたという。「敢えて、経済的にカツカツの生活を送るのもアリかもしれません(笑)」。その真意とは?

リバプールの遠藤航選手

2023年は驚くほど飛躍できた1年だった

「当落線上という立場に関係なく、代表として、勝つために当たり前のプレーをする」ことを心掛けました。
ロシアワールドカップ前にハリルホジッチ監督は解任されましたが、その後の西野監督にメンバーとして選んでもらったのは書いたとおりです。ただ、当時の「当落線上」と、選ばれたときの「当落線上」では、明らかに心構えが変わっていました。
ワールドカップで試合に出られるかはわかりませんでしたが、チームが勝つためにピッチ内でも、ピッチ外でも自信を持ってふるまう。
いつだってチームのために、というベースが確固たるものとなり始めた瞬間です。
どんな人であれ、どんなチームであれ「立場」や「役割」は必ず存在します。それを与えられることによって「言われたことをやろう」と、アクションにフォーカスできます。
ただそのとき、「立場」に縛られてはいけないと思います。特に成長を願うのであれば、置かれた立場の中で求められていることと、本当に必要なことをしっかりと判断しなければ、逆に成長を止めてしまう可能性があるのです。

(遠藤航・著『DUEL』

イングランド・プレミアリーグのリバプールに移籍してプレーし、今シーズン(2024-2025年)のチャンピオンズリーグを戦う権利も手にした。日本代表のキャプテンにもなった。

もちろん、まだまだ足りないところを補っていく努力は必要ですが、2023年から今にいたるまで、子どもの頃「こうなりたい」と思ったことを次々と実現できた、自分でもびっくりするような時間を過ごしています。

でも一方で、「成長意欲」というこれまで自分の原動力となってきたモノについて、この先どう向き合っていくかを考えるようになりました。

リバプールでリーグ優勝をしたい、チャンピオンズリーグで優勝したい、さらにはワールドカップで優勝したい……。

いずれも実現したい目標です。ただ、それは並大抵のことでは成し遂げることができません。

当然ですが、僕ひとりの力で実現できるものでもないし、自分が成長するだけで成し遂げられるものでもない。自分が力がおよぶ範囲、限界みたいなものは理解しているつもりです。

これまでは、成長したいという思いをわかりやすいカタチで目標にできていました。ビッグクラブに移籍する、デュエルで1位となる、など。

そこに到達できたとき、次はプレーの質が成長の証になりました。前回(第2回)話したように、「リバプールのレベルにない」などと言われないようにする、そしてチームの勝利に貢献する。まだ1シーズンではありますが、自分なりに手ごたえを感じました。

でも同時に、今度は達成したい目標が、自分の力だけではどうしようもないものとなったんです。

経済的に自分を追いこむ。それもアリかもしれない(笑)

どうやって自分のモチベーションを保っていくか。そんなことを、色々なタイミングで考えます。最近思っていることのひとつが、自分を追いこむことです。

変な例ですが、例えばめちゃくちゃ高い家を買って(まだ買っていません!)収入ギリギリの生活を送る、とか。いわば「カツカツの状態」に敢えてすることで、自分の退路を断ってモチベーションを得るみたいな感じですね。

今までは自身のプレーの成長がモチベーションの源泉だったので、次は環境的なものにそれを求めるのも面白いかもしれないと思い始めています。

また、僕は父親として家族の生活を支えるのはもちろん、子どもがやりたいと思ったことに対して、その機会を常に提供してあげたいと考えています。

だから、もし家族のために高い家を買ってその結果として金銭的に余裕がなくなったら、「もっとサッカーを頑張らなきゃ!」という意欲がよりいっそう湧いてくるかもしれない。

と、ここまで見ると僕自身のモチベーションがなくなっているように思われそうですが、決してそういうわけではありません(笑)。

リバプールでの新シーズンがすごく楽しみですし、とにかくタイトルをすべて取りたい。

リバプールも新しい監督になって、色んなことが変化しています。僕に対して、「スタメンになれない」「同じポジションに補強が必要」といった声が上がっているのも知っています。

でも、僕がやるべきなのは「タイトルを取る」ために行動するだけ。周りの声は関係ない。

本題に戻ります。ハードなシーズンのなかでどう自分のモチベーションを保ち続けるかは、すごく重要なポイントです。

どんな方法を使うにせよ、新監督とともに素晴らしいシーズンが送れるように、その一員として貢献していくたいと思っています。

遠藤航/Wataru Endo
1993年生まれ。2010年に湘南ベルマーレに加入後、浦和レッズを経て海外に。ベルギー、ドイツでキャリアを積み、イングランド・プレミアリーグの名門リバプールの中心選手として活躍する。1対1の強さに定評のあるミッドフィルダー。サッカー日本代表のキャプテンも務めている。著書に『DUEL』などがある。

TEXT=黒田俊

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