1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第14回は柔道選手・阿部詩。「人生を彩る眼鏡#14」
PERSON 64
柔道選手/阿部詩
サングラスが気持ちを切り替えるスイッチに
カラーレンズ越しにも感じられる、強く澄んだ眼差し。女子柔道の阿部詩選手は、撮影が進むにつれ時折り気迫のある表情をのぞかせた。
「以前は毎日試合のことばかり考えてパンクしそうになっていたんですけど、今はだいぶオンとオフの切り替えを意識してできるようになりました。例えば休日にはフェイシャルエステに行ったり、普段よりお洒落をしたりすることもいいリフレッシュになっています」
普段はコンタクトを着用するが、眼鏡は度付きも度無しも所有し、ダテ眼鏡やサングラスのお洒落も楽しむ。そんな阿部さんが今回着用しているサングラスは、EYEVANの「Grace」。ヨロイの1PIN,1SCREWがアクセントになったコンビネーションスタイルで、細身のシルエットに品のよさが漂うモデルだ。
「これまでフチが太いものをかけることが多かったので、細いデザインが新鮮に感じられました。せっかくの機会なので、大人っぽくしてみようかなと。軽いかけ心地なのもいいですね。着こなしを選ばずかけやすそうなデザインなので、ぜひ遠征などにも持っていきたいです」
普段以上に稽古、トレーニング漬けとなる遠征中は、気持ちの切り替えが重要になるという。
「稽古ばかりになると、気持ちも身体ももたなくなってしまうので。少し時間ができた時などは、なるべく好きな服を着て外出したりして楽しむようにしています。このサングラスは、そうした時にかけると気分をアゲてくれそう。気持ちを切り替えるスイッチとしても、こうしたアイテムの存在は本当に大事なんです」
ふたりの兄に影響を受け5歳で柔道の道へ。2021年夏の東京で兄の一二三選手とともに兄妹で優勝し、一躍注目を浴びる存在となった。
「子どもの頃から本当に負けず嫌いでした。どの大会も負けたくない、どんな強い相手にも負けたくないという気持ちが常にあって、その先に世界選手権や、3年前の東京があったという感じです。どこまでも強くなりたいという思いが、日々のモチベーションにつながっています」
そしてこの夏、2度目の大舞台に挑んだ。試合前に、その並々ならぬ緊張についてこう話していた。
「前回優勝しているので、もちろんプレッシャーはありますが、それを恐怖に感じることはあまりなくて。むしろこれは、私自身しか味わえないものだと思っているんです。これを乗り越えたらまた強くなれるし、優勝したときの達成感も味わえるので。楽しむとまではいかないですけど、今しか味わえないこのプレッシャーを噛みしめたいですね」
試合後、「必ず強くなります」と誓った彼女の今後に注目したい。
阿部詩/Uta Abe
2000年兵庫県生まれ。女子柔道52kg級。パーク24所属。5歳の時に柔道を始める。2017年『グランプリ デュッセルドルフ』52kg級で史上最年少で優勝。同年『世界ジュニア選手権大会』52kg級、2018年『世界柔道選手権バクー大会』52kg級で優勝など、数多くの大会で優勝を果たす。グランドスラムは通算8勝。得意技は内股、袖釣り込み腰。組み手は右組み。
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