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2024.01.01

目標は小さく!? 新年の抱負を掲げる前に読みたい、「目標の立てかた」と「叶えかた」【吉本の人気講師の授業】

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、第7世代の生みの親・桝本壮志のコラム。

目標を持っていますか? それを叶えるために、どんな日々を過ごしていますか?

「そもそも目標なんて、持つ意味あるの?」

「達成できなかったら傷つくだけ。持たないほうがラクじゃない?」

今ではM-1グランプリなどで輝きを放っている元教え子たちも、以前はそんな疑問や不安を抱えていました。

今週は、彼らに伝えてきた“目標の立てかた、叶えかた”についての思考法を公開したいと思います。

なぜ目標を立てるのか?=得するためです

まず、なぜ目標を立てる人が多いのでしょう? 

僕はシンプルに「得をするから」と答えています。

例えば、当てもなく街ぶらをして富士山のてっぺんに行った人はいませんよね? 

あそこの景色を見られる人は「目標」を持った人だけ。宝くじが“買わなければ当たらない”ように、目標があることで受けられる恩恵や戦利品=「得」があるからです。

さらに、時間に対する人の感覚はまちまちで、「余裕がない人」と「余裕がある人」がいますし、お金には「借りる人」と「貸す人」がいます。前者は“追われる側”で、後者は“追う側”ですよね?

実はこれ、仕事や学業でも同じで、望んでいない「残業」や「宿題」は、すべて“自分を追ってくるモノ”になっていきます。

勘のいい皆さんならもうお分かりでしょう。

追われてやると「義務」や「責任」という面倒くさいワードが付きまといますが、こっちから追いかけてやると「ミッション」や「夢」というポップなワードに早変わりする。

そう、目標を立てるという行為は、わずらわしい義務や責任をしりぞけてゆくメンタルハック。すなわち“得をする心”を育ててゆくアプローチでもあるんですね。

目標なんて小さく。「30分後に叶う」でいい

得をするから目標を立てる。これを知ったら、次は「叶えかた」です。

いま約1400人の若者の講師をしていますが、彼らは「目標」や「夢」に対して抑圧的です。

若者が目標を掲げたり言葉にしたりしないのは、もしも叶わなかったら“悪目立ち”するから。

また大人たちも、夢を叶えた成功者やアイドルには拍手喝采するのに、夢を追いかけている若者には冷たく、上から見下ろしてしまう風潮があります。

では、そんな時代の風に吹かれながら、どうやって目標や夢を叶えていけばよいのでしょう?

僕は、生徒たちに「目標や夢は30分後に叶うモノでいいよ」と伝えています。

大阪でラーメン屋のバイトをしていた19歳のとき、こんなことがありました。

店主のオヤジは刑事ドラマが好きな人で、ある日、「いつか交番に出前するのが夢やねん」と言ったんです。僕は鼻で笑って「その夢、小さすぎません?」と冷めた目をしたら、オヤジがこう答えたんです。

「小さい夢をちょいちょい叶えると、コツを覚えるんや」

僕はハッとして鍋を止めました。それまで夢や目標は、デカくなければならない。デカくなければ夢じゃないと思っていたからです。

このオヤジの言葉は、のちの人生で何度も「正しかったんやな」と腑に落ちていきました。

「CoCo壱で贅沢なトッピングをする」「財布をパンパンにしている小銭を使い切る」「憧れの職場の先輩に話しかけてみる」などなど、小さな夢はどんどん叶えることが可能で、成功体験を重ねることで“夢を叶えるコツ”のようなものが自分の中で育っていったからです。

「目標」を大げさにとらえる必要はありません。他者への「想い」が強すぎると「重い」と言われるのと同じで、「目標」ではなく「予定」くらいの感覚でもいいんです。

大切なのは、その予定をちゃんと持つこと。スケジュール帳に予定を埋めていけば、最初はモノクロだったあなたの将来のビジョンに、“予定という画素”たちが集まり、やがてカラーになってゆくはずです。

それではまた来週お逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。第7世代の生みの親。