放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、第7世代の生みの親・桝本壮志のコラム。
人間関係はうまくいっていますか?
私たちの「悩み」の8割は、人間関係がらみのモノなので、「うまくいっていない」が多いのは当たり前。大丈夫ですよ。
今週は、職場や学校の人間関係でモヤモヤしている皆さんに、約15年間、僕が生徒たちに送ってきた”言葉の酸素”思考法を届けてみたいと思います。
人間関係の「ゴタゴタ」は、部屋の「模様替え」と同じ
先日、ちょいちょいテレビに出はじめた元教え子から、「最近、仕事も人間関係もごちゃごちゃでツラいんです」という相談をうけました。
彼もそうだったのですが、「人間関係がうまくいっていない」という状況=「人生がうまくいっていない」に結びつけて考える人はけっこう多いです。
そんなとき、僕は「部屋の模様替えと同じやで」と返します。
模様替えをすると、途中は必ずぐちゃぐちゃの部屋になります。服が散乱し、棚にあったものが床を占拠し、動かしたベッドからホコリも舞います。
しかしこれは、“快適になるために必要な過程”ですよね?
人間関係も同じで、「何かを変えよう」もしくは「何かが変わるとき」には“必ず一度はぐちゃぐちゃになる”のが自然の摂理です。
模様替えの1シーンだけ切り取って見れば、ため息が出るほどの汚部屋も、目の前のモノをコツコツさばいていくと、いつの間にかスッキリした空間に変わる。
これを心の根に置いて、いま人間関係に悩んでいる方は、「模様替えといっしょ」「通るべき過程なんだ」と考えてみてください。
時間は偉大な医者。きっと変わります。
もっとも大切な人間関係は、「自分との人間関係」
約1万人の生徒と膝を突き合わせてきて、ある時期から気づいた法則があります。
それは、上司や後輩など、他者との関係に気を配れる人、他者を大切にできる人ほど“自分との関係をおろそかにしてしまう”という傾向です。
周りとの関係を「丁寧にしよう」「優しくあろう」と心がけている人ほど、キャパをこえる仕事を引きうけてしまうし、お願いごとも集中するし、「自分が我慢すればいい」という思考から、不平も口にしない。気がつくと、あれこれ背負い込んで自重で潰れてしまうのです。
自分の「土地」を持つとうれしいものですが、その土地を広げ過ぎると、外敵の侵入や樹木の手入れなどの心労が増えます。人間関係も同じで、全方位的に丁寧に優しくあろうとすると、そのぶん心労や不快要素は増えていきます。
そして多くの場合、そういった状況に耐えている自分を“器の大きい人間”と勘違いしてしまいます。
「器が大きい」とは、相手のミスや弱さを許せる“ゆとり”であり、自分が弱ったり“ゆとりをなくす”ことではありません。
一番大切な人間関係は“自分との人間関係”。これを忘れないようにしましょう。
そして、パソコンを閉じて街へ出よう
最後に、人間関係がこじれたときに僕がやっている対処法をご紹介しますね。
私たちは、人間関係のなかでストレスを溜めますが、そのストレスを友人や家族といった“人間関係のなかで解消していく不思議な生物”です。
なので僕は“人と会う”を最良の手法と考えています。
在宅ワークやデジタルツールによって、「1人でも生きていける」という風潮もありますが、ネットやSNSでは決して身につかない能力があります。
例えば、あなたが旅行先で、他人に写真をお願いするとき、無意識のうちに「この人ならカメラを渡しても大丈夫」と判断していますよね?
これは、過去に出会ってきた人たちの“知見データ”があるからです。この名もなきデータは、どんどんアップデート可能で、やがて結婚相手、親友、ビジネスパートナーを見極める能力となり、NG人間を回避するスキルにもなっていくのです。
さあ、人間関係がこじれたときこそスマホを閉じて、街へ出てみましょう。それではまた来週。