放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。
手が止まっている仕事はありませんか?
気乗りしない仕事で、やる気がなかなか起きない。やる気はあるけど、ゲームや漫画を読んでダラダラしてしまう。在宅ワークが増え、家族が気になってしまう。などなど「仕事と仕事の切り替え」がうまくいっていない人は多いようです。
今週は、長年シェアハウスで芸人と同居し、テレビ、講師、コメンテーター、コラムなど、多ジャンルの仕事をしている僕が実践している“切り替えかた”と、ワークライフバランスに対する“思考法”を公開していきたいと思います。
切り替えの「壁」は、これから費やす「時間の長さ」
90分の映画と3時間の映画では、観る前の「心がまえ」が違うように、これからやる仕事の「長さ」や「労力」によって、私たちは億劫になりますし、その気持ちが“切り替えの壁”にもなっていきます。
そして、切り替えがうまくいかない人は、責任感の強さから「クオリティを高く仕上げたい」「認められたい」という感情がトッピングされ、眼前の仕事を“手強い相手”に育てあげ、いよいよ腰が重くなるケースが多いようです。
この切り替えの壁を低くするためには、「手強い」と感じてしまう“時間の長さと労力をダウンサイズする”ことがオススメです。
例えば僕は、どんなに仕事を抱えていても“2時間経ったら、別のことをしよう”をデフォルトにしています。
「A」という仕事を2時間すれば、次は「B」、その次は「C」といった塩梅です。
このように重要な仕事、シンプルな仕事を“すべて2時間労働”にしてしまえば、これから費やす時間と労力に億劫になることはありません。
しかも、2時間ずつスライド(僕の場合、テレビ台本→コラム→企画書→小説執筆)していけば、2時間おきに“達成感”というインセンティブが付与されるので自己肯定感を得られます。さらに、早く終われば次の作業時間まで、同居人とおしゃべりしたり、マンガやゲームに興じたりしてもいいので、機嫌よく仕事に向き合えるのです。
目の前にある仕事は、あなたの考えかた、取り組みかたで、ザコキャラにもラスボスにもなります。
どうぞ、自分に合った手法を試してみてください。
ワークライフバランスに「ライク」と「ライス」を足す
仕事と生活を調和させる「ワークライフバランス」が浸透していますが、僕はこの「ワーク」を、さらに2つに分類して思考しています。
それが“ライクワーク”と“ライスワーク”です。
まず「ライクワーク」とは、その名の通り“好んで打ち込めて、自分のキャリアアップにも必要な仕事”のこと。
そして「ライスワーク」とは“食べていくための仕事”です。言わずもがな、私たちはお金を得ていかなければ生きていけません。家族のため、衣食住のため、最低限のお金が必要ですからね。
「最低限のお金が必要」ということは、考え方を変えると、お金を得るためには“最低限の仕事も必要”だと言えます。
そこで僕は、面倒な仕事や、つまらない仕事は、食べていくための「ライスワーク」に分類しています。
みなさんにも、資料作成、リサーチ、会議連絡など、ライスワークに入る雑務があるはずです。
この、自分の仕事を「ライクワーク」と「ライスワーク」に仕分けしている人はほとんどいないのですが、あらかじめ仕分けして、自分なりのラベルを貼っておくと、おのずと切り替えもうまくいきます。
例えば、ライクの前だと「将来のために頑張ろう」と、スッと行動に移れますし、ライスの前だと「お金のためだ」と、開き直って仕事に向き合えます。
これを20年前にやった現在の僕は、ライスワークにカテゴリーした仕事で「謝罪案件」が発生したとしても、「すいません、すいません」と言いながら、「すいま1000、すいま1000」と、頭の中で“円換算”できているくらいです。ホントなんです(笑)。
それではまた来週。うまく切り替えられないときは、このコラムを開いてみてください。