PERSON

2023.11.27

会社への悪口は結局「自分への悪口」である――悪口と距離を置く方法とは

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。

ストレスは溜まっていますか?

そりゃ溜まりますよね。理不尽な上司に言い返したいけど、言い返せないストレス。仕事ができない部下を叱りたいけど、叱れない社会の風潮へのストレス。

働けば働くほど、お金は“たまる”けど、その何倍もストレスが“たまる”。これはビジネスパーソンあるあるでしょう。

しかし、その発散法が「悪口」や「陰口」になっている人はいませんか?

今週は“ストレスを「悪口」で発散している人は要注意”というお話です。

人と人は「長所」より「短所」が似ている人とつながる

まず、あなたの職場でのイライラを、家族や職場外の友人に言うのは「悪口」や「陰口」ではありません。それは「愚痴」や「不満」です。

しかし、同僚や後輩をつかまえて“同じ職場の人の評価を下げようとする言動”は「悪口」や「陰口」であり、オススメできません。

なぜなら“人間関係が危ういのは、長所よりも短所が似ている人とつながりやすいから”です。

例えば、特殊詐欺などの犯罪グループは、「明るく活動的」や「協調性が高い」などの“長所が似ている”から集団化しているのではありません。「短絡的」や「流されやすい」などの“短所が似ている”から引き寄せ合っているのです。

これは、職場でも同じ現象が起こります。

悪口や陰口を言う人は、必ず“聞き手”が必要になるので“共感してくれる人”や“一緒に言ってくれる人”を探し求め、引き寄せ合っていきます。

そして、他者を蔑んでしまう集団は、社内に敵視する人をどんどん作り出してしまうので、ブレイクスル―する(課題や困難を突破する)ことが難しくなっていきます。

「最近、職場で悪口を言うことが増えたな」と感じる方は、“人と人は、長所より短所が似ている人とつながりやすい”という法則を頭に浮かべ、その集団から抜け出す準備をはじめましょう。

悪口は、結局自分への悪口である

仕事柄、喫茶店やファミレスでPC仕事をするのですが、よく夫の悪口を大声で言っている女性と出くわします。

「いかに夫がだらしないか」

「いかに夫の稼ぎが少ないか」

「いかに家の中でジャマか」

……あなたはどう思いますか?

いくらストレスが溜まっているとはいえ、僕に言わせれば、そんな男を愛し、そんな男を選び、そんな男と生活している自分がいかにダメな人間かを“世間に公表している人”にしか見えません。

これは会社も同じ。居酒屋でビールをあおりながら、会社や同僚の悪口を言っている人は、自分の会社がいかにダメか、いかに人材が乏しいか、そんな会社を志望した自分にいかにセンスがないかを公表している人でもある。そう、職場の悪口は、結局自分への悪口なんですね。

知人の大手企業の社長は、こんなことも言っていました。

「取引先の近くにある居酒屋に行けば、だいたいその会社のレベルが分かるよ」と。

口は災いの元とは、ビジネスパーソンのためにある言葉なのかもしれませんね。

職場のストレスを和らげる思考法とは?

ならば、「悪口」と距離を置くためには、どうすればよいのでしょう?

最後に、僕が実践した思考法を1つ伝えますね。

どこの職場にも「使えない部下」「無能な上司」はいるものです。これはあなたが転職しても変わりません。

しかし、別の見方をすると、自分が給料をもらい、ポジションを得ているのは、そんな“できない人”がいるから。

もしも、職場が“有能な人”だらけだったら、入社もできなかったし、居場所はないし、失職していたのかもしれないのです。 

ほら、悪口を言いたくなる人たちが“いてくれてラッキーな人たち”に見えてきませんか? 僕はこうして、ストレスを別のカタチで発散できるようになりました。

それではまた来週、ストレスを感じたら、このコラムをタップしてみてください。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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