ドバイに渡り活躍する、日本のビジネスパーソン。職種や渡航の経緯はさまざまだが、みんなが口を揃えて「思い切ってドバイに来てよかった」と言う。今回は、美容師の薬師神友美氏がドバイを選び、そこで働く理由に迫った。【特集 熱狂都市・ドバイ】
ドバイでは人と違って当たり前
外資系企業が多く集まる金融特別経済区、DIFC。中東における金融の中心地であるこのエリアで2013年、ドバイ初のユニセックスサロンをオープンさせたのが、薬師神友美さんだ。
「日本の美容学校を卒業後、国内の美容室で経験を積んで2010年にドバイへ渡航。ドバイでは5つ星ホテル内のサロンなどで働きました。最初は苦労しましたが、とにかく周りの人たちに自分を認めてもらわないといけなかった。なので、必死に働いてましたね」
日本で働いていた美容室では同時に複数のお客さんを担当するのが当たり前だったが、ドバイではほとんどマンツーマンで担当することが多い。日本時代に培った提案力や手際のいい仕事ぶりが、薬師神さんへの評価につながったという。
そして2013年に独立、「サロン ナデシコ」を開店した。客数は平均して1日で5〜10人。カットはAED320〜、パーマはAED980〜という価格もドバイでは一般的な設定。ミニマルで居心地のいい空間や丁寧な接客、確かな技術力が口コミで広がり、ドバイでも指折りの人気店となった。
「コンパクトなお店で、最高のサービスを提供する。そんな私の思いが詰まったサロンです」
美容師として世界に挑戦したい。その思いで海外に飛びだした薬師神さんはサロンワークのみならず、これまでにドバイのラグジュアリー誌や某有名ブランドのファッションショー、エミレーツ航空のCMなどで、数多くのスタイリングも手がけてきた。最近はまた、新たなビジネスの展開も考えているという。
「国際色豊かなドバイは、人口の90%が海外からの移住者で、バックグラウンドが違う人たちが集まっています。その違いを受け入れつつ、自分の力で道を切り開いていかなければならない。だからこそやりがいや達成感がある。ドバイは、挑戦していく意欲がどんどん湧いてくる場所なんです」
My Dubai Episode
電気を止められて毎晩キャンドルナイト!?
薬師神さんは家賃と光熱費を払っていたにもかかわらず、大家が電気代を払っていなかったため電気が止められる事態に。「ルームメイトと2週間ほど毎晩キャンドルナイトを過ごしました(笑)」
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この記事はGOETHE2023年12月号「総力特集: ヒト・モノ・カネが集まるドバイ」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら