陰ながらチームをどっしり支えるタイプのamadana代表取締役社長CEO・熊本浩志と、すべてを受け入れ、本質を見抜くタイプのPaidy副社長執行役員・橋本知周。互いに草野球でキャッチャーを担うふたりのエピソードを紹介。連載「相師相愛」とは……
【amadana CEO×Paidy 副社長】ふたりはキャッチャー
熊本 橋本さんとはキャッチャーつながりなんです。キャッチャーミットを持って対談なんて初めてなんじゃないですか(笑)。
橋本 もう10年以上前になりますね。熊本さんの著書、『「たかが草野球」で人生が変わる』は今も覚えています。ガチで草野球をやってる人がいて、それがamadanaの社長と聞いて驚いて。
熊本 初めて会った時は、こっちも驚いたんです。アメリカまで行って野球をやった人なのに、意外にビジネスマンの香りがしてたので。
橋本 熊本さんが率いる野球チームの皆さん、仕事も本気の人たちでしたけど、本当に野球も一生懸命でしたよね。
熊本 遊びも仕事も真剣、という人とウマが合うんです。実は遊びと仕事はつながっていて、遊びが急にビジネスにつながったりするのが、世の中なんです。
橋本 たしかに、草野球日本一を目指していて本当になってしまって、今や東京ヴェルディの一員ですものね。最初に聞いた時は嘘だと思いました。
熊本 3年で日本一を目指すにあたり、実はまずこだわったのはチーム名でした。バンバータって、ヒップホップのアフリカ・バンバータから取ったんですけど。僕は元DJなので。これ、誰も聞いたことがない響きでしょう。やっぱり過去になかったものが好きなので(笑)。
橋本 そういう目標を作っちゃうのは、経営者っぽいですね。
熊本 その意味では、僕はキャチャーらしくないキャッチャーなんです。目立たないキャッチャーほど、いいキャッチャーですからね。女房役ですから。
橋本 そういうところはありますね。僕も自分で発信するというよりは、支えるのが好きです。
熊本 ただ、実は女房役といいながら、受け身というわけではないんです。というのも、キャッチャーがいないとゲームは始まらないから。僕らがサインを出さないと、ピッチャーは投げられない。そして僕らはそのたびにディシジョンしている。
橋本 そうですね。2、3時間で100回以上、意志決定する。
熊本 そして検証している。
橋本 PDCAを回しまくりですよね。
熊本 しかも、ピッチャーに妙な意識をさせないようにしながら、あちこちに目配せしてゲームを動かしていたりする。他のポジションとは明らかに違うんですよ。世の中の人たちは、もっとキャッチャーのことを知るべきです。だから今日、キャッチャー対談できて嬉しい(笑)
橋本 キャッチャーについて語らせたら、止まりませんね(笑)。
熊本 しかも僕と違って、橋本さんは本当にキャッチャーっぽいキャッチャーだから。だって、否定しないでしょう。誰かがダメとか、何かがダメとか、まず言わない。
橋本 たしかに、そういうところはありますね。
熊本 すべてを一度受け入れて、どこにポイントがあるか、どこにコアがあるか、見抜こうとする。どんな人にも、同じスタンスで付き合う。いろんな話を聞いてくれる。みんなが最も求めるタイプ。実はそれがキャッチャーなんですよ。
橋本 誰かを引き立てたいタイプではありますね。ピッチャーをまずは引き立てたい。他の誰かが活躍するなら、それでいい。
熊本 僕はそういうタイプではないけど、そういう役割を演じ切れるところがあるんです。いやらしいキャッチャーになったり。言葉責めとかしたり(笑)。でも、キャッチャーとして対戦したら、面白かったかも。
橋本 なんか、またランチでたくさんしゃべりたくなってきましたね。
熊本 そういえば、いつもランチだよね。仲のよい人は、ランチに行くことが多い。話したいことが決まっているから、ランチで済んじゃう。
橋本 そして幸運なことに野球界では僕は一年後輩ですから、ずっと甘えさせてくださいね(笑)。
熊本 あのなぁ(笑)。でも、フランクで構えなくて付き合える貴重な存在。これからもよろしく。同じキャッチャーだしね。
■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相“師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。