まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う連載「コロナ禍のアスリート」から、錦織圭の戦いをまとめて振り返る。※2020年、'21年掲載記事を再編
新型コロナウイルス感染を公表した錦織圭はいつ復帰できる?
2019年8月30日の全米オープン3回戦を最後に試合から遠ざかっている。右肘手術を乗り越え、ツアー再開初戦のウエスタン・アンド・サザン・オープン(22日開幕、米ニューヨーク)が約1年ぶりの復帰戦の舞台となるはずだった。だが、パンデミックにのみ込まれ、復帰プランは白紙となる。男子テニス世界ランキング31位の錦織圭(30=日清食品)が16日、自身の公式アプリで新型コロナウイルス感染を公表した。
「残念なお知らせがあります。フロリダで検査を受けて新型コロナウイルスの陽性が確認されました。症状は軽いですが、すぐに隔離に入ります。21日に再検査を受け、次の更新をします」
発熱と倦怠(けんたい)感があり、自主的にPCR検査を受診。決戦の地ニューヨーク入りを予定していた前日の16日朝に陽性の結果が出た。ウエスタン・アンド・サザン・オープンは欠場を余儀なくされ、全米オープン(31日開幕、米ニューヨーク)に出場するかは、21日の再検査の結果を待って判断することになった。
生活拠点を置く米フロリダ州は、新型コロナウイルスの感染者が55万人を超え、米国内でも感染拡大が目立つ地域。練習拠点のIMGアカデミーではバスケットボール女子プロリーグWNBAが集中開催されており、会場入りの際に書類の提出を義務付けられるなど厳しい感染予防対策が取られている。錦織自身もうがい、手洗い、マスク着用などリスクマネジメントに細心の注意を払ってきたが、見えない敵を排除することはできなかった。
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コロナ禍に翻弄された錦織圭の復活ロードとは?
新型コロナウイルスにもっとも振りまわされているアスリートの一人と言っても過言ではない。右肩痛からの復活を期す男子テニス世界ランキング41位の錦織圭(31=日清食品)が厳しい調整を強いられる中、今季4大大会初戦の全豪オープン(2月8日開幕、メルボルン)を迎える。
大会主催者が用意したチャーター機で1月15日にロサンゼルスからメルボルン入り。同乗者にコロナ陽性判定者が出たため、ホテルの一室から1歩も出られない2週間の完全隔離生活を余儀なくされた。本来なら1日5時間の制限下で屋外練習を許されていただけに、強化プランに狂いが生じる大誤算。「全豪に向けて難しくなるなと感じたし、ショックは大きかった」とダメージを受けた。
不測の事態に見舞われる中、できることに全力を尽くした。隔離期間中も毎日3~4時間の練習を確保。部屋の壁に向かってボールを打ち、トレッドミルやエアロバイク、メディシンボールなどで体力維持にも励んだ。「風がなかったり、太陽も1日数時間しか当たらなかったりとか、そういう点で後半はメンタル的に滅入ることもあった」という過酷な環境を乗り越え、1月30日から屋外コートでの練習をスタート。「最初はゆっくりやったが、それでも筋肉痛はめちゃくちゃ出た」と体力低下は否めなかったが「意外とボールを打つ感覚は失っていないと感じた」と"部屋トレ"の成果もあった。
厳しいシーズンが続く。'19年夏の全米オープンで右肘痛を抱えながらプレーし、患部の状態が悪化。同10月22日に手術を受け、シーズン残り試合を欠場した。復帰を目前に控えた翌'20年3月に新型コロナウイルスの感染拡大により、ツアー大会の休止が決定。ツアー再開初戦となった同8月のウエスタン・アンド・サザン・オープン(米ニューヨーク)に出場予定だったが、今度は自身が新型コロナに感染して復帰プランは崩れた。
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