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2021.02.04

コロナ禍に翻弄された錦織圭の復活ロードとは?

約1年の延期が決まった東京五輪。本連載「コロナ禍のアスリート」では、まだまだ先行きが見えないなかでメダルを目指すアスリートの思考や、大会開催に向けての舞台裏を追う。

隔離期間中も毎日3~4時間の練習を確保

新型コロナウイルスにもっとも振りまわされているアスリートの一人と言っても過言ではない。右肩痛からの復活を期す男子テニス世界ランキング41位の錦織圭(31=日清食品)が厳しい調整を強いられる中、今季4大大会初戦の全豪オープン(2月8日開幕、メルボルン)を迎える。

大会主催者が用意したチャーター機で1月15日にロサンゼルスからメルボルン入り。同乗者にコロナ陽性判定者が出たため、ホテルの一室から1歩も出られない2週間の完全隔離生活を余儀なくされた。本来なら1日5時間の制限下で屋外練習を許されていただけに、強化プランに狂いが生じる大誤算。「全豪に向けて難しくなるなと感じたし、ショックは大きかった」とダメージを受けた。

不測の事態に見舞われる中、できることに全力を尽くした。隔離期間中も毎日3~4時間の練習を確保。部屋の壁に向かってボールを打ち、トレッドミルやエアロバイク、メディシンボールなどで体力維持にも励んだ。「風がなかったり、太陽も1日数時間しか当たらなかったりとか、そういう点で後半はメンタル的に滅入ることもあった」という過酷な環境を乗り越え、1月30日から屋外コートでの練習をスタート。「最初はゆっくりやったが、それでも筋肉痛はめちゃくちゃ出た」と体力低下は否めなかったが「意外とボールを打つ感覚は失っていないと感じた」と”部屋トレ”の成果もあった。

昨年9月に383日ぶりの勝利

厳しいシーズンが続く。’19年夏の全米オープンで右肘痛を抱えながらプレーし、患部の状態が悪化。同10月22日に手術を受け、シーズン残り試合を欠場した。復帰を目前に控えた翌’20年3月に新型コロナウイルスの感染拡大により、ツアー大会の休止が決定。ツアー再開初戦となった同8月のウエスタン・アンド・サザン・オープン(米ニューヨーク)に出場予定だったが、今度は自身が新型コロナに感染して復帰プランは崩れた。

同9月8日のジェネラリ・オープン(オーストリア・キッツビューエル)で375日ぶりに公式戦に出場も初戦敗退。同14日のイタリア国際(ローマ)で1回戦を突破し、383日ぶりに勝利を挙げた。徐々に調子を取り戻しつつあったが、同9月30日の全仏オープン2回戦で右肩を負傷。シーズンの残り試合を欠場し、リハビリなど復帰に向けた準備を進めた。迎えた東京五輪イヤー。コンディションが上がってきた矢先にホテルに缶詰めにされ「調子が良くなってきた時にこの2週間があるのか」と失望は大きかった。

全豪オープンの出場予定者で、錦織と同様の外出規制の対象となった選手は70人を超える。同乗者に陽性者のいなかった便の選手は入国後2週間も5時間以内の屋外練習や外出が許されただけに、公平性を担保できない状況に陥っている。それでも錦織は「マイナスな意見もあると思うが、今回はかなり厳格に2週間隔離しているので、安全に進んでいると思う。選手としてはタフな場面もあったけど、(運営側は)よくやってくれていると思う」と評価する。

オーストラリアは厳しい入国規制を敷いており、メルボルンでは感染者が出ない日も多い。錦織は「最初は外に出るのが怖かった。皆がマスクなしで外や建物の中を歩いているのは不思議な感覚でしたね。米国、日本では皆マスクしているので」と指摘した。全豪オープンは最大で1日3万人の観衆を入れる予定。選手も入国から2週間の隔離後は、マスクなしで自由な外出が許されている。

錦織は日本代表チームの一員として、2日に開幕した国別対抗戦ATPカップに出場している。約4カ月ぶりの公式戦を経て、全豪オープンに挑む。自己最高位が4位の世界ランキングは離脱中に41位まで下降した。長丁場のグランドスラムは体力勝負で、屋外で2週間練習できなかった影響は計り知れない。メダル獲得を目標に掲げる東京五輪の開幕は7月23日。コロナ禍に翻弄(ほんろう)され続けた前代未聞の状況から復活ロードを歩み出す。

TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=GettyImages

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