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2022.04.08

小平奈緒が五輪の舞台で見せた、美しき生きざま──連載「コロナ禍のアスリート」

まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う連載「コロナ禍のアスリート」から、小平奈緒の戦いをまとめて振り返る。※2021年、’22年掲載記事を再編

北京五輪まで4ヵ月。円熟味を増した小平奈緒が目指すものとは?

2022年2月の北京五輪へと続く、スピードスケートの2021-'22シーズンが10月22日に始まる全日本距離別選手権で幕を開ける。女子500mで五輪連覇を目指す小平奈緒(35=相沢病院)は「私達は自分の生きざまをみていだたく機会が本当に少ない。五輪は人生の中で挑める数少ない舞台。東京五輪ではメディアを通じて様々な選手が躍動する姿を見させていただいた。心が熱い気持ちを引き継いで北京五輪シーズンに臨める実感はある」と新シーズンを走り出した。

'18年平昌五輪でスピードスケートの日本女子史上初の金メダルを獲得。一躍、時の人となったが、翌'18-'19年シーズンは調子を落とした。右股関節に違和感を発症した影響から'19年2月の世界距離別選手権で2位に終わり、女子500mの国内外での連勝が37でストップ。優勝を逃すのは'16年3月のW杯ヘーレンフェイン大会で8位になって以来、実に2年11ヵ月ぶりだった。'19-'20年シーズンには股関節の違和感が右から左に移行。'20年2月の世界距離別選手権では女王の座を奪還し「これでようやくゼロに戻れた」と安堵したが、プレ五輪イヤーの昨季は更なる試練が待っていた。

'20年11月の全日本選抜帯広大会で、同走した郷亜里砂(32=イヨテツク)に0秒02差で敗れてV逸。第2カーブ付近でバランスを崩して左手をリンクにつくミスが響いた。国内では'15年12月の全日本スプリント以来、4年11ヵ月ぶりの黒星。左股関節の違和感を解消する陸上トレーニングに専念するため、11月下旬から12月中旬は氷上から離れた。「感覚の違いに気づいて、ここで着手しなければいけないと思った」。シーズ途中にリンクに立たない異例の決断だった。

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元女王の気品漂う小平奈緒はどこまでも配慮の人だった──連載「コロナ禍のアスリート」

写真:日刊スポーツ/アフロ

頂点を知る者の美しい所作だった。北京五輪スピードスケート女子1000mの全レース終了直後。10位に終わった小平奈緒(35=相沢病院)は高木美帆(27=日体大職)の金メダル決定の瞬間、一度は静かに勝者から離れた。新女王が銀のユッタ・レールダム(オランダ)、銅のブリタニー・ボウ(米国)と健闘を称え合うのを待ってから、歩み寄って抱擁を交わした。メダリスト3選手による歓喜の共演に割って入らない、配慮のように映った。

「奇跡を望んでいた部分もあったけど、五輪はそんなに甘い舞台ではない。成し遂げることはできなかったが、自分なりにやり遂げることはできた。不格好な作品になったけど、(苦難を)乗り越える姿を見せる滑りはできたのかな」

自身4度目の五輪は厳しい結果となった。冬季五輪の日本女子初の連覇を狙った13日の女子500mでまさかの17位。スタート直後の1歩目の左足が氷に引っかかり出遅れると、得意のコーナーでもスピードに乗れなかった。会場には'18年平昌五輪女子500m銀メダリストで'19年に現役を引退した李相花(イ・サンファ=韓国)さんも韓国国営テレビ局KBSの解説者として来場。'10年バンクーバー、'14年ソチを連覇した韓国の英雄は公私で親交の深い小平のレースを見届け、放送席で号泣した。

小平は「一歩目の左脚が引っかかってしまって、その後立て直せなかった。自分のスケートがどんどん離れていく感覚で、やりたい表現ができなかった。相花はレース前からメールを送り続けてくれて心強かった。相花が2連覇した時のようには、うまくいかなかった」と唇をかんだ。

500mの4日後に行われた前回銀メダルの女子1000mでも立て直せなかった。表彰台どころか入賞も逃したが、レース後は小さく手を叩いた。

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TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=長田洋平/アフロスポーツ

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