PERSON

2022.03.14

令和トラベル社長・篠塚孝哉の勝機とは?

多様性が重視される時代が到来し、仕事に対する考え方や働き方が変容しつつある。変わりゆく社会に対応し、なおかつ成果を出す新しい仕事論を、時代を牽引するキーパーソンに聞いた。【シン・男の流儀】

篠塚孝哉

逆張りと長期目線で業界地図を塗り替える

コロナ禍が終息し、海外旅行へ行けるのはいつになるのか。先の見えない時代、2021年4月にあえて海外旅行を専門に扱う令和トラベルを立ち上げた、起業家の篠塚孝哉氏。

「コロナ禍以前、海外旅行市場は右肩上がりでした。でも、好調な時期は、大手が幅を利かせていて、新規参入は難しい。だから、大手の撤退が相次ぐ今がチャンスなんです。誰もやらない時にやる。逆張りこそ、スタートアップにとって最善の勝負手です」

篠塚氏は昨年、ハワイに1ヵ月滞在しホテルを訪ね歩いた。以前なら門前払いされそうな高級ホテルの担当者も時間を取り、真摯に話を聞いてくれたという。

「"日本人の旅行業者が来たのは1年ぶりだよ"と歓迎してくれて。予想以上のスピードで提携ホテルが増えました。現在は日本からの旅行者は数えるほどしかなく、耐える時期だと思っています。だから、今は商品開発に力を注ぎ、コロナ後に一気に攻めます。長期目線でマーケットを見れば、コロナの反動で海外旅行ブームが訪れることは間違いないですから」

篠塚氏が’11年に起業した宿泊予約サービスReluxでの実績が買われ、約23億円の資金調達を実施。コロナ禍だからこそ、参入の難しいハワイでも高級ホテルと次々に提携が決まった。

篠塚孝哉

令和トラベルでは現在、海外旅行者向け
のモバイルアプリを開発中。航空やホテルなど旅に必要なものがパッケージされ、〝画面を見せるだけでチェックインできる〞といった手軽さを売りにしていく。

Reluxをローンチした時は、東日本大震災の影響で客足が落ち込む旅行業界の活性化に尽くした篠塚氏。今回も、逆境のなかでの挑戦となる。

「僕が意識しているのは、歴史家の目線。かつての偉人ならこの時代をどう見ているのだろうかと。その意識で正しいと思うことに邁進する。100年経った時に、"意味のある事業だった"と思われるようなことに挑んでいきたいですね」

篠塚孝哉の仕事の流儀

1. 勝機は逆張りにこそある
2. 長期目線で世界を見る
3. 価値があるかは歴史家の目で判断

篠塚孝哉

令和トラベル代表取締役社長
篠塚孝哉
1984年千葉県生まれ。大学卒業後リクルートに入社。2011年、宿泊予約サービスReluxを運営するLoco Partners設立。’17年、M&AによりKDDIグループに経営参画。’21年に令和トラベルを立ち上げ、海外旅行事業に乗り出す。

TEXT=川岸 徹

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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