どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てながら、スターとなる前夜とともに紹介していきたいと思う。連載コラム「スターたちの夜明け前」年始総集編⑤
糸井嘉男
2003年6月12日・全日本大学野球選手権1回戦 九州共立大戦
現在(2021年5月時点)、セ・リーグで順調に首位を走る阪神。ルーキーながら4番を任されるなど大活躍を見せている佐藤輝明に注目が集まっているが、同じ近畿大出身の先輩で”超人”の異名をとり、長く第一線でプレーし続けているのが糸井嘉男だ。佐藤の加入で今シーズンは代打での出場が多くなっているが、5月に入って先発出場した2試合ではいずれもホームランを放つなど、今年で40歳とは思えないパワーを見せつけている――。
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菊池涼介
2009年4月4日・岐阜県学生野球リーグ 中部学院大戦
現在のプロ野球でセカンドの名手と言えば、ほとんどの人が菊池涼介(広島)の名前を挙げるのではないだろうか。定位置を獲得した2013年から昨年まで8年連続でゴールデングラブ賞を受賞。’14年にマークした535補殺は二塁手としてのシーズン歴代最多記録であり、昨年は二塁手として史上初となるシーズン無失策という大記録も打ち立てている。広大な守備範囲と堅実さを兼ね備えたそのセカンド守備は、長いプロ野球の歴史の中でもナンバーワンと言っても過言ではないだろう――。
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柳田悠岐
2009年6月10日・全日本大学野球選手権1回戦 創価大戦
日本シリーズ4連覇中のソフトバンクで不動の中軸として活躍しているのが柳田悠岐だ。シーズンMVP2回、首位打者2回、最多安打1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞5回など数々のタイトルを獲得し、総合力では現役の野手でもナンバーワンという声も多い。そんな柳田だが、高校では名門の広島商に所属していながらも全く名前の知られた存在ではなかった。チームは柳田が1年の時に夏の甲子園にも出場しているが、本人はベンチ入りしていない。筆者がそのプレーを初めて見たのは2年秋の広島県大会、如水館戦。柳田は背番号5をつけて代打で出場しヒットを放っているが、そのプレーについては全く何の印象も残っていない。名門校出身ながら首都圏や関西圏の大学ではなく、県内の広島経済大に進学しているというところにも、当時の評価がよく表れていると言えるだろう――。
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