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2021.07.15

史上最強メンバーで五輪に挑むバスケットボール男子日本代表の勝算とは?

本連載「コロナ禍のアスリート」では、まだまだ先行きが見えないなかで、東京五輪メダルを目指すアスリートの思考や、大会開催に向けての舞台裏を追う。

強化試合のハンガリー戦でダンクシュートを決める渡辺雄太。日刊スポーツ/アフロ

八村、渡辺、馬場ら豪華布陣

バスケットボール男子日本代表は歴代最強と称されるメンバーで1976年モントリオール大会以来、45年ぶりの五輪に挑む。八村塁(23=ウィザーズ)、渡辺雄太(26=ラプターズ)のNBAコンビに加え、オーストラリアでプレーする馬場雄大(25=ユナイテッド)と海外組3人が名を連ねる。

日本国籍取得枠のエドワーズ・ギャビン(33=千葉)、田中大貴(29=A東京)を含めた予想先発の平均身長は2m1を誇る。登録12人の平均身長も1m96。長年の課題である高さで、世界に引けをとならいメンバーが揃った。'17年7月から指揮を執るフリオ・ラマス監督(57)は「チームの完成度を高めて、できるだけいい状態で本大会を迎えられるようにしたい」と力を込める。

開催国枠で出場する日本の世界ランキングは参加12カ国で最も低い42位。1次リーグはスペイン(世界ランク2位)、アルゼンチン(同4位)、スロベニア(同16位)と同じC組に入った。予選は12チームが3組に分かれ、各組の2位以内と3位の上位2チームの計8チームが決勝トーナメントに進出する。

日本は32カ国が出場した'19年夏のW杯で5戦全敗。出場国が絞られる五輪は、さらに厳しい戦いが予想される。東野智弥技術委員長(50)は「チャレンジャーとして挑む戦い。バスケ界には『諦めたら、そこで試合終了』という名言がある。まずは1勝。そうすれば8強入りの可能性も出てくる。世界を驚かせたい」と人気漫画スラムダンクの湘北高バスケ部監督・安西先生の名ゼリフを用いて目標を掲げた。

直前強化試合では苦戦

今月4日の最終登録メンバー12人を発表後、チームは沖縄遠征を行い、国際強化試合3試合を実施。所属クラブなどとの兼ね合いで合流が遅れた八村、馬場が不在の中、ハンガリー(同38位)に79-58、ベルギー(同37位)に70-73、フィンランド(同32位)に71-76と1勝2敗に終わった。五輪対戦国より格の落ちる相手に負け越し。厳しい現実を突きつけられたが、収穫もあった。

大黒柱の渡辺雄大が3試合連続でチーム最多得点を記録。沖縄遠征からチームに合流し、約1年10カ月ぶりの代表戦で気を吐いた。田中とともに主将に任命され、ベンチに下がっている間も立ちっぱなしでチームを鼓舞するなどリーダーシップを発揮。「このチームが世界で勝つために、僕が中心でやらないといけないという責任感はある」と自覚を口にした。

日本代表から離れている間もスタッフから送られた試合や練習の映像をチェック。新たに加わった選手の特徴の把握やW杯後に導入された新戦術の理解に務めた。5月中旬にNBAでの最終戦を終え、米国で自主トレを実施。6月上旬に帰国して地元の香川に帰郷すると、NBAとは違う五輪仕様のボールに慣れるため、元バスケ選手の父・英幸、姉・夕貴両氏のサポートを受け、シュート練習を繰り返した。

5月に代表デビューしたばかりのエドワーズも試合を重ねるごとにチームにフィット。ゴール下で強さを発揮して、攻守に存在感を示した。'20-'21年BリーグMVPのシューター金丸晃輔(32=島根)も持ち味を発揮。フィンランド戦では7本中4本の3点シュートを沈めて接戦を演出した。

八村、馬場は沖縄遠征後に合流した。埼玉で16日にベルギー、18日フランス(同7位)と強化試合を行い、五輪本番を迎える。司令塔の田中は「塁、雄大が入れば、また状況は変わってくる。新たなセットプレーも入るので頭をフル回転させながらやりたい」と視線を上げた。

開会式で日本選手団の旗手を務める八村は「夢に見ていた舞台でプレーできるのがとても楽しみ。日の丸を背負い、日本中が誇り高く思えるようなプレーをしたい」と意気込んでいる。限られた期間で、どこまで連係面を高められるかがカギ。世界を驚かせるための準備は最終段階に突入している。

TEXT=木本新也

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