自然と調和するカリブ海の家で心身を解放する。
カリブ海に浮かぶ小さな島、アンティグア島。その西海岸に位置するギャリー湾を見下ろす岬に建つのが、ジョルジオ・アルマーニ氏の別邸だ。
1990年代に建築家ジャンニ・ガモンディによって設計されたヴィラを2006年に購入。木の梁と尖った屋根が印象的な島固有の建築様式を取り入れた元の構造を活かしながら、アルマーニ氏自ら手を入れ、無駄な装飾を排し、溢れる自然に溶けこむ邸宅ができあがった。
“フラワー”と“セレーナ”と名づけられたふたつのヴィラと独立した3つのコテージを擁する広大な敷地内は、専用の遊歩道を抜ければ、真っ白な砂浜のビーチへ直接アクセスすることもできる。
プールやフィットネスルームも備えたヴィラの、リビングやベッドルームの床や壁には畳を使用。各ヴィラは、それぞれグレーとベージュをベースに細部までカラートーンを統一し、空間全体に調和を生みだしている。
家具や照明、テキスタイルはアルマーニ/カーザのコレクションで設(しつら)え、自ら世界中で手に入れたオブジェや雑貨がアクセントを添える。特徴的なのが、敢えてガラスを入れず、木製のルーバーを設置した窓だ。強い日差しを遮りながら、室内に心地よい風を取りいれ、邸宅自体がこの地の自然と一体化するかのような雰囲気を醸しだす。
室内のルーバー窓からも、ディナーを楽しむお気に入りのプールサイドのテラスからも、ヴィラのあらゆる場所から望めるのは広がる海の風景だ。
「小さな頃遊んだ記憶や、10代の頃の夏休みや初恋の想い出など、海はさまざまな記憶を呼び覚まします。白い砂浜、青い空と海が溶け合う水平線……この家から望む風景が、私に本当の休息を与えてくれるんです」
実は他にもミラノ、ニューヨーク、サントロペなど世界10ヵ所に邸宅を持つアルマーニ氏だが、毎年必ずイースターとクリスマスの時期を過ごすのが、「美しき天国」と称すこのヴィラだ。「温もりと静謐(せいひつ)、その感覚が生まれた時に“空間”は“家”へと変わる」というアルマーニ氏。
そのすべてがかない、モードの帝王が最も心を許せる場所、それがこの南国の邸宅なのだ。
Giorgio Armani
1934年イタリア・ピアチェンツァ生まれ。’75年に自身のブランドを設立。2000年にはホームコレクション「アルマーニ / カーザ」をスタート。’10年にはアルマーニ・ホテル・ドバイをオープンし、アルマーニならではのライフスタイルを提案する。