東京・浜田山に研修センターを隣接した自宅、千葉・鴨川に社員の福利厚生所として約600坪のビーチハウスを所有する、アースホールディングス代表取締役 國分利治氏。3軒目となる家も社員とその家族が楽しめる、もてなしの達人ならではの空間となった。
火を燃やし、火を眺めながら、旨い肉と酒を楽しむ
山肌が赤や黄に色づき始めた頃、栃木県那須高雄(たかお)の國分邸を訪ねた。周辺は“行者の湯”として名高い『高雄源泉』が湧く名湯の地でもある。
「僕は福島県の飯坂温泉近くの出身で、中学校まで家には風呂がなく、夜は近所の共同浴場(温泉)に行く生活でした。つまり温泉が日常だったんです」と話すのは、全国にフランチャイズ美容室「HAIR & MAKE EARTH」を展開する、アースホールディングス代表取締役の國分利治氏だ。
東京・浜田山に研修センターを隣接した自宅。そして千葉・鴨川に社員の福利厚生所として約600坪のビーチハウスも所有。3軒目となるこの家も社員と社員の家族が楽しめるようにと建てた。
「この家のテーマは、温泉と焚き火を楽しむ。濁り湯の源泉を引き、温泉を自宅で楽しむのが憧れでした。それと浜田山の家を建てた時からの夢だった、焚き火を楽しめるスペースも、この家で実現できました」
國分邸は道路の高さに屋根がある、約30度の傾斜地に建つ。
「5年前から家を探したんですが、那須塩原でも濁り湯の温泉があるのは、この一角だけ」
濁り湯だけあって温泉の成分が濃く、家の周辺には、硫黄の匂いがかなり濃く立ちこめている。
「住んでみたら、温泉や焚き火だけでなく景色の美しさもこの家の魅力だと気づきました。斜面のどの位置に部屋を作るか悩んだんですが、風呂からの眺めも、テラスからの眺めも素晴らしいんです。昔から親交があった、グラマラスの森田恭通さんに相談しながら作りあげました」
2階にある玄関から入ると、リビングルームとキッチン、その奥に掛け流しの温泉がある。階下にはベッドルームと温泉を引いたバスルーム、そして客間を兼ねたふたつのプレイルーム。そして、印象的なのがリビング中央に鎮座する、バーベーキューが楽しめる円形の暖炉だ。
「以前『ナカイの窓』というテレビ番組に出演した時のセットの円形テーブルが仲間と団らんする理想のサイズだったんです。僕は手のひらを広げると20㎝なんで、収録の合間に手でサイズを測りました(笑)。それを参考に作った完全オリジナル。12人ほどがゆったり座れます」
國分氏はサービス精神旺盛な人だ。とにかく人を驚かせること、もてなすことに全力を注ぐ。
「暖炉の周りに鉄板や網を置き、那須牛を買ってきて炎を見ながらバーベキュー。火にはリラックス効果があるせいか、焚き火を見ながら、食べて呑んで喋っていると、気づいたら朝の6時なんてことも(笑)。その間に入れ替わり温泉に浸かり、楽しんでもらう」
そして國分邸のサプライズは温泉、焚き火、景色だけでない。
「庭はグランピングができるようにと、テントを張るためのテラスを6つ作ったんです。まだまだ敷地に余裕があるので、近々ツリーハウスと温泉プールを作る。きっと家族で来ると子供たちが喜ぶはずです」
庭の中央には、大きな焚き火台があり、それを囲むようにテラスが設置されている。サワガニや蛍が生息する渓流も流れ、この夏は庭で遊ぶ子供たちの笑い声が絶えなかったという。
「最近はほぼ毎週末ここにクルマを走らせ、もっぱら長靴を履いて庭の整備に打ちこんでいます。階段の周りに苔を植えつけたり、庭に白樺の苗木を植えたり。年齢とともに体力も衰えたし、暮らしへの考え方も変わってきた。
鴨川の家ではサーフィンして、仲間とワイワイやるのが楽しかったけど、あそこが『動』だとしたら那須の家は『静』。ひとり湯に浸かり、火を見て景色を眺め、庭作業に没頭して自分をリセットする。仕事のアイデアも存分に湧くんです」
所在地:栃木県那須高雄
敷地面積≒1602.59平米
延べ床面積≒297.07平米
設計者:イオ・コンダクト
構造:1階RC構造、2階木造
Toshiharu Kokubun
1958年福島県生まれ。新宿の美容室からスタートし、30歳で独立。’89年に「HAIR & MAKE EARTH」1号店を開設後、フランチャイズシステムで国内外に250店舗を構える。