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2019.11.17

海外映画のメインキャストの座を掴んだEXILE小林直己はいかにして英語を覚えたのか?

Netflixオリジナル映画『アースクエイクバード』に出演しているEXILE小林直己。製作総指揮をリドリー・スコットが務める海外作品で、セリフは英語がメインになる。「英語を本格的に学び始めて3~4年」という直己さんは、海外で通用する英語をどのように身につけたのか? 小林直己流の英語トレーニング法を聞いた。

EXILE小林直己

ドクター・ペッパーが注文できない

ダンスの本場はニューヨーク。子供の頃から英語圏のカルチャーに強い興味があったので、英語に憧れていました。でも、苦手で、全然話せなかった。20歳の時に、初めて行ったニューヨーク。ファストフード店でドクター・ペッパーが飲みたくて、注文したんですが、通じない。巻き舌を意識して「ドクトゥアー・ペップゥアー」と何度言っても、ダメでした。結局あきらめて、「コーク、プリーズ」と注文。めちゃめちゃ悔しい思い出です。

それからずっと、「本格的に英語を勉強したい」と思っていました。でも、LDHでの活動が忙しくて、何もしないまま30歳。ちょうどこの頃、自分のなかで変化が起こったんです。「これから肉体的に衰えていくはず。そんな体で、ファンに満足してもらえるダンスができるのか? EXILEやLDHは僕を必要としてくれるのだろうか?」そんな考えが頭をめぐるようになったんです。

Netflixオリジナル映画『アースクエイクバード』では、アカデミー女優のアリシア・ビカンダーと共演

Netflixオリジナル映画『アースクエイクバード』では、アカデミー女優のアリシア・ビカンダーと共演

人とは違う何かをしたかった。自分にしかできないことをやってやろうと思いました。それが英語だったんです。

30歳にして、代々木にある英会話スクールに通い始めました。同時に、ネイティブな発音を身につけるため、自腹でロサンゼルスに通いました。英語を教えてくれるトレーナーを探し、できる限り一緒に過ごしたんです。

英語を始めてから、3~4年が経ちました。自分で分析すると、いまの英語レベルは小学4年生くらい。外国人と完璧にビジネスなどでコミュニケーションをとることは難しいですが、映画のように決まったセリフなら話せます。今回出演したNetflix映画『アースクエイクバード』では、撮影現場の公用語が英語だったので、かなり苦労しました。でも、堂々と、監督やほかのキャストに、英語で意見やアイデアを述べました。現場で、遠慮なんかしていたら、仕事になりませんからね。

「短期間でそれだけ上達するのはすごい。英語を話せるようには、どうしたらいいですか?」と聞かれます。答えは簡単。「毎日しゃべる」しかないんです。英語を勉強しているうちに気づいたのは、ダンスと同じだということ。僕は15年以上ダンスを続けてきましたが、ダンスは繰り返し練習して体に覚えさせるしかない。スポーツや楽器の練習なんかと同じなんですよ。

英語のトレーニングは、地味な作業の繰り返し。例えば、鏡に向かって、「ラ、レ、ル、ラ、レ、ル」と発音し続ける。舌が日本語を話すようになっているから、英語を話すための舌の使い方を体に覚え込ませるわけです。

EXILE小林直己

英語学習継続の秘訣は「仕事にする」

英会話の学習は地味ですから、続けられないという人も多いと思います。続けるには、仕事に入れ込むことです。日本人は、仕事となると、なんでもできる。「体調が悪く、天気も悪い。とても出かけたくない」と思っても、仕事だったら行きますよね。

そこで、英語を仕事にすることを決めました。英語を学び始めて少し経った頃、僕が出演した映画『たたら侍』がハリウッドでプレミアム上映されることが決定しました。これは、願ってもない機会! 舞台あいさつを「英語でやろう」と決意したんです。周囲に「英語であいさつする」と宣言。言ってしまった以上、どうしてもやらなければならない。プレミアム上映まで約1年。作品への想いを紹介するスピーチを練習し続けました。

ハリウッドのエジプシャンシアターで行われたプレミアム上映会。ハリウッドの映画関係者を前に、英語でのあいさつに挑みました。反応はよかったですよ。通訳を通さずに、言いたいことが通じるわけですから。同じスピーチを『たたら侍』がモントリオール世界映画祭のコンペに出品された時にも使いました。そこでの反応もよく、「英語ができるっていいなあ」と改めて感じました。

英語の勉強はたいへんですが、絶対にやったほうがいい。コミュニケーションをとれる人が増えるし、海外のカルチャーや歴史が深く理解できるようになる。いまも「英語力をもっと鍛えていかなければいけない」という思いはありますが、それでも全然しゃべれなかった時とは比べ物にならないくらい、情報の吸収量が増えたと感じます。

それとともに、自分自身のこともよくわかるようになりました。海外での仕事では、「自分がどんな人間で、どんな活動をしているのか」を30秒くらいでコンパクトに話すことが求められます。自分のストロングポイントを端的に話すのですが、何を言えばいいのか、まずは自分を自己分析しますからね。

それに、日本人についても、客観的に見えるようになってきた。海外の文化を知ると、日本と比較分析するようになる。「ああ、こういうところに日本人ならではの武士道の精神が生きているんだな」とか、「これは儒教の教えに基づいているんだな」とか。そうした日本人の個性は、外国人にリスペクトされています。

映画『アースクエイクバード』では、撮影現場の公用語が英語だったが、監督やほかのキャストに意見やアイデアを積極的に述べたという。

映画『アースクエイクバード』では、撮影現場の公用語が英語だったが、監督やほかのキャストに意見やアイデアを積極的に述べたという。

以前、僕はアメリカに憧れて髪型をドレッドにしていた時期もありましたが、いまは黒髪でストレート。「このままでいいんだ」「僕はこういう人間なんだ」という思いが強くなった。英語ができるようになって、思考回路が変わり、日本人としての誇りや自信が強まったようなった気がします。

英語が話せるようになって、よかったことは数え切れません。でも、最高によかったのはドクター・ペッパーを注文できるようになったことです(笑)。

Earthquake Bird

Earthquake Bird
1980年代の日本を舞台に描いたNetflixオリジナル映画。原作は、日本在住経験のあるイギリス人作家スザンナ・ジョーンズの同名小説。日本人の写真家と恋に落ちた外国人女性が、三角関係に悩まされ、行方不明の末に殺された友人の殺人容疑をかけられてしまう様子を描いたサスペンスミステリー。ある時、日本で暮らしていた外国人女性リリーが行方不明になり、やがて死体となって発見される。友人であるルーシーに容疑がかけられるが、2人の女性の間にはミステリアスな日本人カメラマン、禎司の存在があった。主人公ルーシー役を「リリーのすべて」「トゥームレイダー ファースト・ミッション」のアリシア・ビカンダー、友人リリー役に「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」のライリー・キーオ、鍵を握る日本人カメラマンの禎司役に「EXILE」「三代目 J Soul Brothers」の小林直己。監督は「アリスのままで」のウォッシュ・ウエストモアランド、製作総指揮にリドリー・スコット。Netflixで2019年11月15日から配信。

TEXT=川岸 徹

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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