セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第8回目は、フォーシーズンズのクルーズ船で巡るダイバーズ天国。ラグジュアリーホテルがなかったパラオを最高に楽しめる旅へ。
朝起きてすぐに海に飛びこむ贅沢
東京からグアム、あるいは台北へ。そこからさらに乗り継いで辿り着く青い海の楽園、パラオ共和国。古代の珊瑚礁が隆起してできた200以上の島々であるロックアイランドやブルーコーナーは多くのダイバーたちが訪れるダイビングの聖地でもある。
「『フォーシーズンズ エクスプローラー、パラオ』というフォーシーズンズ グループのクルーズが、今パラオを訪れるエグゼクティブたちの間で人気です。スモールラグジュアリーなクルーズであり客室はわずか11室。ゲストの数よりクルーの数が多い日もあるほどのホスピタリティで、至れり尽くせりのサービスを受けることができます」
7日間かけてパラオ全体を巡るこのクルーズ。スケジュールが決まっている通常のクルーズ船とは違い、いつ乗船・下船しても構わない。あくまでホテルであるため、好きな日にチェックイン・アウトをしてもいいという設定なのだ。7日間フルで乗船しなくても、3泊4日など自分の好みのエリアだけクルーズ旅を体験できるのも魅力。
「旅の目的は主にダイビング。クルーズでさまざまなスポットを巡り、インストラクターと潜ります。ダイビング免許がない方はシュノーケリングでもOK。この乗船中に免許を取ることもできます」
実は泳ぐのが苦手だというかぐみさん。乗船前にダイビング免許を取得し、インストラクターに指導されながら、初ダイビングをパラオの海で体験した。
「アクティビティは毎日異なり、バードウォッチングや釣り、ペリリュー島に寄港して歴史を学んだり、現地の村を訪れることもできます。食事は3食シェフが腕を振るってくれますし、好みをリクエストすることも可能。海の楽しみ方も、旦那様はダイビングへ、奥様はシュノーケリングや、船上のスパでゆっくり過ごしたり……とそれぞれの時間を過ごせます。各ゲストのレベルに合わせたインストラクターが寄り添ってもらえるので、ダイビング初心者の私でも、不安なくパラオの海の美しさを味わうことができました」
通常のクルーズ船は最終日に盛大なパーティーが行われ、旅中の写真がスライドで流されたり、クルーや他のゲストと別れを惜しんだりする。けれどこの船の場合は、下船日は人によって違うため、毎日が誰かの最終日、専任のカメラマンが編集した思い出のビデオが、毎晩流され、思い出を美しい映像とともに振り返ることができる。
「ゲストの数が少ないのでその分仲良くもなりますね。一緒にダイビングをして、海の中という本来人間が生きていくことのできない非日常の世界に触れる。その体験を共有することでいっそう心の距離も縮まります」
深い海の中、未知なる光景と人との出会いもある。それこそがこの旅の醍醐味なのだ。
才津香果/Kagumi Saitsu
1982年生まれ。アルカディア代表取締役。国内外の富裕層に向けた、会員制のコンシェルジュサービス会社を運営。ギフトのセレクトから、ラグジュアリーな旅の手配までオーダーメイドで富裕層の要望をかなえる。 Instagram:@kagumi.trip