セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第6回目は、古都と秘境マチュピチュをつなぐ列車の旅。
快適にマチュピチュへ。ペルーを体感する列車旅
ペルーの古都・クスコからその列車、ハイラム・ビンガム、ベルモンド・トレイン(通称:ハイラム・ビンガム号)に乗りこむ。ワイングラスが並べられた食堂車両、大きな窓の展望車両、バー車両も備えた豪華列車で向かうのは、世界遺産マチュピチュ。この列車はクスコからマチュピチュまでのもっともラグジュアリーな交通手段だと言われている。
「乗りこんだ瞬間から、音楽隊が列車の中で生演奏を披露し、ゲストたちを盛り上げてくれます。まるでアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』の世界に迷いこんだかのようなクラッシックな内装の車内、そのダイニングでいただける料理はペルーの食材を使った創作料理の数々。アルコールもインクルードなので、乗客はペルーの代表的なカクテル『クスコサワー』を楽しんでいました」
出発地のクスコでは、「クイ」と呼ばれる天竺鼠(てんじくねずみ)の丸焼きやアルパカのカルパッチョなど、ペルーの伝統料理を楽しんだというかぐみさん。列車でも美食に酔いしれ、およそ3時間の旅路を進み、目的地へと辿り着いた。
古代インカ帝国のロマンに想いを馳せる
マチュピチュ遺跡への訪問は予約制だが、この列車を予約した時点で自動的に遺跡へのチケットも手配され、一緒に山を登ってくれるガイドもつく。
「マチュピチュ遺跡は誰もが1度は見たいと願う場所。せっかくそんな場所へ行けるのですから、列車も単なる交通手段としてではなく、旅の体験として大切にしたいですよね。同じ景色を見るのでも、どのような過程を経てその景色に出逢うのかによって、感じ方は大きく変わってきますから。車内でペルーの民族音楽や踊り、食事などの文化に触れ、そうしてマチュピチュ遺跡の絶景に出逢えた瞬間は、感動もひとしおでした」
下山後は、再びハイラム・ビンガム号に乗りこみクスコへ。
「絶景を見た感動を胸に、帰りの列車で振舞われるディナーをいただく。こちらもペルーのお料理ですから、しっかり余韻に浸ることができます。この時に、列車の中でボトルに入った水を飲んだのですが、なんとコカの葉が入っていました。リラックス効果があり、高山病にも効くとされていてペルーでは多く生産されているのだそうです。少し飲んだだけでも私はクラクラしてしまいましたが(笑)」
旅人が憧れる場所へ。かぐみさんはその旅路も、優雅にそして刺激的に、楽しみ尽くす。
才津香果/Kagumi Saitsu
1982年生まれ。アルカディア代表取締役。国内外の富裕層に向けた、会員制のコンシェルジュサービス会社を運営。ギフトのセレクトから、ラグジュアリーな旅の手配までオーダーメイドで富裕層の要望をかなえる。 ※旅のご相談はhttps://arkadear.comまで。