やんばる(山原)と呼ばれ、文字どおり山や原っぱなど、自然が多く残されている沖縄北部は現在、大規模な開発が進行中。旅慣れた大人が次に目指すのはこの地だ。今回紹介するのは、名護市・今帰仁村に建設中のテーマパーク「JUNGLIA」。【特集 沖縄に住む】
弩級のプロジェクトが進行中! 大人は北部を目指す
沖縄北部最大の話題といえるのが、2025年に開業予定のテーマパーク「ジャングリア」だ。運営するのは、敏腕マーケター集団、刀と地元企業とで立ち上げた、ジャパンエンターテイメント。その代表の加藤健史氏は言う。
「この事業は沖縄のポテンシャルに惹かれ、経済波及効果の高いテーマパークを起点に観光課題と社会問題を地元との協業で解決を目指すプロジェクトです」
沖縄の観光客数は2018年には約1000万人を記録し、ハワイと同水準だ。飛行機で半径4時間圏内、20億人が住むアジア圏の中心という絶好のポジション。各国の経済成長に合わせ、今後も発展の伸び代が期待できるが、まだまだ問題が多いと言う。
「沖縄に来る観光客は滞在時間が短く、消費単価が小さい。これには滞在時間を延ばす魅力的なコンテンツが足りないということ。さらに観光立県にもかかわらず、観光事業に就きたい沖縄県民が17%しかいない。早急に沖縄、そして日本の観光を支えていく人材を育成せねばいけないんです」
さらに社会課題の視点からは、観光所得が県外に流れる“ザル経済”という問題点も見えた。
「これは日本各地で起きている問題。沖縄が解決できれば、それが日本の観光を強くする。そこでマーケティングのノウハウとエンターテイメントの力で、沖縄から未来をつくろうと生まれたのがジャングリアなのです」
やんばるの森で味わう、本能を貫く新体験
現在、テーマパークはやんばるを擁する沖縄北部の今帰仁(なきじん)村と名護市にまたがる60ヘクタールの土地を開発中。
「通常のテーマパークなら、川や山、ラグーンをつくらなければとなりますが、ここは自然とその地形を生かし、土地の魅力を伝えるアトラクションを設計できるんです」
やんばるの森に抱かれ、叫びたくなるような興奮や贅沢感を感じ、本能を貫くような解放感を味わう「パワーバカンス」という言葉をコンセプトに掲げた。
「いい大人、ラグジュアリーな旅をし尽くした人も、今までにない超興奮とリラックス、解放感を味わっていただける。沖縄から力をもらい、日常に戻っていけるのではないでしょうか」
その詳細はまだまだ謎に包まれているが、肉食恐竜に遭遇するサファリライドやジャングルの絶景の上を飛ぶジップライン、沖縄の大自然を空から眺められる気球遊覧などが、続々と完成を目指して準備中のようだ。
「インフラ面でも那覇からの高速道路がパークの手前まで延伸されるよう行政を通して提言しており、もはや北部は遠い土地ではありません。実際、入島者の約半数が北部を訪れています」
開業に合わせ、北部事業への投資も水面下で進んでいる模様。
「僕は休日に大型バイクで北部を走るんですが、信じられない絶景や体験を楽しめます。沖縄が持つ不思議な力を、ぜひ体験しに行らしてください」
JUNGLIA
那覇空港からクルマで1時間半
この記事はGOETHE 2024年9月号「総力特集:人生の楽しみ上手が集う島 沖縄に住む」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら