旅好きたちの心を掴んでやまないラグジュアリーホテル「アマン」。その姉妹ブランド「ジャヌ」が、世界展開に先駆けて2024年3月13日に東京・麻布台ヒルズに開業した。アマングループ会長兼 CEOのヴラッド・ドロニン氏に話をうかがった。
コミュニティと繋がるエナジーに溢れるホテルを
人と人をつなぐ広場のような“Modern Urban Village”を目指す街として、2023年11月に開業した麻布台ヒルズ。広さ6,000㎡に及ぶ中央広場や、イギリスの設計事務所へザウィック・スタジオがつくり出した有機的なデザインの建築物など、一目見ただけでも伝わる新たな自然との融合の形は、都市での豊かな人の暮らしから発想したヒルズの未来形といえるものだ。
その新たな街のなかで、唯一のホテルとして誕生したのが、ラグジュアリーリゾート&ホテルのパイオニア「アマン」の姉妹ブランドとしての世界初のホテル「ジャヌ東京」だ。リゾートホテルの理想形として展開する「アマン」とは一線を画す「ジャヌ」の目指すものとは? アマン・グループのヴラッド・ドロニン会長兼 CEOがその展望を語った。
「サンスクリット語で“平和”を意味するアマンは、プライベート感溢れる穏やかなリトリートのための空間です。一方、“魂”を意味するジャヌは、4年にわたる準備を経て、戦略的にオープンしました。
ジャヌはアマンを好んで宿泊するアマンジャンキーの声から生まれました。彼らが子供たちを連れてバケーションに来たときに、もっとエナジーがある場所が欲しい、ローカルコミュニティと繋がる体験をしたい、そうしたリクエストにアマンのラグジュアリーホスピタリティとデザインを掛け合わせてつくり出したのがジャヌです」
その言葉が示すように、ジャヌはアマンと違ういくつかの特徴がある。ビジターも利用でき、それぞれにユニークでライブ感を楽しめる8つのレストランとバーには、麻布台ヒルズの中庭につながる開けたテラス席などもあり、外との交流も積極的に促す。
また約4,000㎡という都内ホテル最大級のウェルネス施設は、宿泊者以外は会員制で、ローカルコミュニティとグローバルコミュニティがともに集い、時間を過ごせる場となる。
アマンが静謐な時間が流れる都会のサンクチュアリであるのに対し、ジャヌは人と人が繋がる躍動的で活気ある場なのだ。
「アマンが設立した1988年から、日本にはアマンとともに歴史を刻んでくれた多くのファンがいます。グローバルな都市という意味でも東京は非常に重要な街ですし、我々も東京の文化やアートが好きなんです。
東京に初のジャヌの拠点を持つことで、日本の文化やコミュニティに愛情をもって接していきたいと思っています。今回パートナーシップを組んだ麻布台ヒルズは、カルチャーやアート、自然に恵まれた素晴らしいロケーションです。
ジャヌと麻布台ヒルズのそれぞれのいい部分が相乗効果をもって、このコミュニティに根付いていくのではないでしょうか」
都内ホテル最大規模のウェルネス施設を完備
ジャヌ東京の特出した特徴のひとつが、340㎡のジムを含む、ウェルネス&スパ施設だ。
約4,000㎡というウェルネス施設は、もちろん都内最大級。ホテルでは珍しいスピニングバイクやボクシングができるムーブメントスタジオは5つ。さらにふたつのプライベートスパハウスでは、バーニャ、ハマムと2種類のサウナを揃える。
「60年代、70年代、80年代と今は環境も大きく違って、多くのみなさんが健康に関心を持つようになっています。ウェルネスは人々の未来です。
我々は、他のホテルにはない最大規模のジムや、エクササイズ体験を提供します。動かした身体をリラックスさせるためのリカバリー施設やスパトリートメントもあるので、忙しく働く日本のみなさんにもしっかり身体を回復してもらえます」
都内屈指のウェルネス&スパ施設を完成させた背景には、人々の健康に貢献したいという想いはもちろん、コミュニティづくりを進めたいという狙いがある。
「コミュニティづくりについての考え方は麻布台ヒルズと共通するものです。都市の本質はそこに生きる人にあるからこそ、人と人を繋ぐ街をつくりたいという森ビルの想いに共感しています。「ジャヌ ウェルネス」は宿泊ゲスト以外は会員制で、会員専用のメンバーズラウンジもあります。運動後にはホテル内にさまざまなダイニングスペースもありますし、麻布台ヒルズ内にある他の施設も大変魅力的だと思っています」
今後は各国の都市部に拡大を検討
ジャヌ初のオープンが東京の麻布台という街にできたことには、アマングループの新たな意志が感じられる。ドロニン会長が考えるのは、リゾートに限らず、都市部までを繋ぐラグジュアリーなホスピタリティブランドの構想だ。この考えにはドロニン会長自身の“アマンジャンキー”としての経験が生かされている。
「私が初めてアマンに訪れたのは、1990年香港で仕事をしていたときに行ったタイのアマンプリでした。一流のホスピタリティ、プライバシーへの配慮、建築、デザインが素晴らしく、一度滞在すると好みもわかってくれて、他のアマンを訪れてもそれを理解してくれている。一度泊まるとクセになってしまい、アマン以外には泊まれなくなってしまっていました。ただ、当時は都市部になく、都市から数時間かけてアマンのサービスやプライバシー、そしてウェルネスのある空間を求めていくという感じだったのです」
アマンを戦略的に都市部にもつくる計画の一端であったのが、「アマン東京」だ。ドロニン会長はアマン東京を「ベストなホテル」と称する。
「私たちは今後もさまざまなカタチで都市形ホテルの展開を考えています。ビバリーヒルズやドバイの開業も発表したところですし、今後はマイアミ、中東に計画がある他、ロンドン、パリ、ローマなども視野に入っています。現在は21ヵ国で展開していますが、すべて私たちのDNA、ビジョンを反映した経営を心がけています。
そしてアマンとジャヌは補完関係にあるので、どちらもリゾート、都市部で拡大していく予定です。日本ではレジデンスを併設したアマンニセコの開業も予定。場所は広く展開しますが、限定した客室数にすることで価値が高まると信じています。少ない客室数で素晴らしいものをつくることに力を注ぎ、ここでしかできない体験を広げていきたいと思っています」
JANU TOKYO
住所:東京都港区麻布台1-2-2
TEL:03-6731-2333(代表)
宿泊料金:¥164,850~(2名利用時1室あたり、諸税・サ込、朝食付き)