京都に生まれ、京都で育ち、今も暮らす生粋の京都人、麩嘉 代表取締役社長の小堀周一郎さんに、足しげく通う場所、思い入れのある品を教えてもらった。京の旦那衆のとっておきの京都とは──。【特集 京都の秘められしスポット】
推し和菓子を見つける旅で、京都の本質に触れてほしい
なんといっても京都は食の都です。ただ、食事だけがフォーカスされすぎていて、和菓子はさほどでもない。僕は和食もいいけれど、和菓子屋巡りをお薦めしたい。なぜなら、京都の和菓子は日本一だし、市内にもよいお店がたくさんあります。好きなお菓子を探す旅っていいと思いませんか。推しを見つける、みたいな。
京都人は誤解されやすいのかもしれません。そんなにフレンドリーではないように思われるのではないでしょうか。けれど、実はそこにはあまり前に出たがらない京都人の奥ゆかしさがあるんです、僕はそうじゃないけれど。多くの京都人は知識をひけらかしたりはしない。そこに京都人の美学がある。和菓子店や工芸団扇の『阿以波(あいば)』さんなどもそうですが、デザインも優れた一流の品をつくるのに、PRしすぎず家業としてこぢんまりやっている。モノづくりの姿勢、信用できます。
京都にはじめてお越しの方にアドバイスするとしたら、マナーを大切にということでしょうか。お店の雰囲気にそぐわない恰好や大声を出さないというレベルですが。そんな当たり前のことを心得ることができれば、どこに行っても大丈夫です。
奥深い京都を知るという意味では、西陣エリアはお薦めの場所です。着物産業で一世風靡した場所で昔の建物が多く残り、京都の本質が今も息づいている。昭和の風情やリアルな京都を満喫できます。
京うちわ 阿以波
住所:京都府京都市中京区柳馬場通六角下る井筒屋町422
Illustration=岡田成生