2022年春、比叡山のふもと京都・八瀬に誕生したプライベートサウナ「蒸庵」。心と身体が蘇る、と話題のそのサウナがあるのは同じく今年の春にオープンした宿屋「moksa(モクサ)」だ。"再生"をコンセプトにする宿屋とは。
「サウナしきじ」の娘がプロデュース! 完全予約制のプライベートサウナ
八瀬には、傷を負った侍を癒やすため、日本最古の入浴場があったとされる。その地で、日々の生活に疲れた現代人の心と身体を清めるべく造られた宿屋がここ「moksa(モクサ)」だ。ひとたびエントランスをくぐれば、日本庭園を望むティーラウンジが。時間ごとに要予約で、体調や体質に合わせてつくってもらえる薬草茶をはじめ、中国・台湾・日本茶をいただけるスペースだ。
リモートワークが主流になった今、時にはベッドの上でまで仕事をしてしまうこともある。もちろん仕事は人生の一部だから、そんな日もあったっていい。けれど、知らないうちに荒んでいった心身に、薬草茶はしみじみと染み渡る。
さらに宿の脇に流れる高野川の音を聞きながら、全31室、広々としたお部屋でくつろげば、すでに魂が浄化されたような気分になってくるが、実はまだまだ序の口。
なぜならここでは、サウナの聖地と呼ばれる静岡県「サウナしきじ」を実家にもつサウナ・温浴プロデューサーの笹野美紀恵氏によって造られた、3つのサウナをそれぞれ貸し切ることができるのだ。
「蒸庵(じょうあん)」と呼ばれる完全予約制のこのプライベートサウナ。「炭蒸」「美蒸」「檜蒸」とコンセプトの違う3つのサウナ空間を完備する。
「3つのサウナすべて、水風呂は比叡山の地下水を汲み上げ、1組入るごとに水を入れ替えています。五感を研ぎ澄ませ、身体の奥底からリラックスできる場所にしたく、音や照明にもこだわりました。温浴で想像を超えた驚きを味わっていただきたいのです」(笹野氏)
3室それぞれ異なるヒーリングサウンドが流れ、鳥の声や水の音が、さらなるリラックスを誘う。「炭蒸」のお部屋では、水風呂のなかにも炭が入れられていて、八瀬の地下水がより清らかに感じられる。冷水の滝にあたって、そよぐ風の音をイメージしたヒーリングサウンドに耳をすませば、まさに「ととのい」は目の前だ。身体が火照ってきたら、窓を開け、庭を眺めながら水風呂や風呂に浸かることも。さらに日没後は庭がライトアップされ、石庭が浮いているように見える。浮遊感を感じてほしいという笹野氏のアイディアだ。