英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第281回。
羨ましくて緑になる!?
ロンドンの街やデパートを紹介してまわるイギリス人女性のYouTuberのチャンネルをいつものようにぼーっと見ていました。ロンドンの街並みやデパートで売られている煌びやかな商品を見ているだけで楽しいので、英語がよく聞き取れなくても問題はありません。
ホリデーシーズンのデパート、高級ブランドの限定品から、クリスマス限定のかわいらしいケーキやお惣菜などなど、すべての商品が輝いて見えます。けれどもちろんお値段も超一流、簡単に買えるものはほとんどなく紹介しているYouTuberも、値札を見てため息をついています。
そんな中、デパートの紙袋をいくつも持ったお客さんが彼女の前を通り過ぎました。きっと大量に買い物をしたのでしょう。それを見てイギリス人YouTuberはこう言いました。
I’ll be honest, I’m green with envy.
(正直に言うわ、私は羨ましくて緑です)
ぼーっと見ているだけですが、一応英語字幕は出しているので、聞き取れたというよりギリギリ読み取れた感じです。Envyとあるので「羨ましい」ということを言っているのでしょうが、なぜ「私は緑です」と言っているのでしょうか。
再生をストップして、いったん辞書を引いたら、こういうことでした。
to be green with envy=ものすごく羨ましい
羨ましすぎて顔が緑になってしまった、そんな感じでしょうか。
そもそも緑色は昔から「嫉妬」を表す色なのだそうで、シェイクスピアの作品にもそういう表現が見られるということ。そういえば日本でも「隣の芝は青く見える」という諺がありました。「青」とは言っていますが、芝なのでこれも緑のことでしょう。
高級デパートで大量の買い物ができる、そんな人を見て「正直にいえば、むっちゃ羨ましい」と彼女は言ったのだと思います。
“to be green with envy”の使い方
調べてみると他にもたくさんの使用例がありました。
Congratulations on your new sports car! I’m green with envy. I’ve always wanted a car like that.
(新しいスポーツカーを手に入れたんだね、おめでとう! マジ羨ましいよ、そういうクルマずっと欲しいと思ってたから)
Katie was green with envy when she saw that you got a new car for your birthday.
(君が誕生日プレゼントにクルマをもらったのを見て、ケイトは羨ましさに震えていたよ)
なんだか例が全部クルマなので、きっと「羨ましいレベル」が高い時に使われるのかなと思います。
イギリス人YouTuberは「いいな〜、これほしいな」とか「これ綺麗だな〜」と商品を紹介しながら「わぁ、このテーブルクロス300ポンド(約6万円)!」「このヘアピンひとつで150ポンド(約3万円)!?」と悲鳴をあげていました。それでも何か買いたかったのでしょう、最後に10ポンド(約2000円)のクリスマスツリーにつける飾りを買って自分を納得させていました。
キラキラしたものを見るのは楽しいですが、その金額感ではもし私がロンドンのデパートに行けてもなにも買えないので、その時は私も彼女のように正直に“I’m green with envy”と言おうと思います。