ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は矢野香著の『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること 口下手な人が伝わる人に変わる心理メソッド43』をご紹介。
話のうまさは才能ではなく習得可能なスキルだ!
吉本興業の劇場で作家の下積みをしていた頃、いつも舞台袖で出番直前まで台詞を暗唱しているベテラン漫才師たちの背中を見ていた。一流と呼ばれる芸人でも絶えず努力をしているんだな、と感じた記憶が本書を読んでよみがえってきた。
スティーブ・ジョブズやキング牧師、安倍晋三らトップリーダーたちも、スピーチや演説の前には入念なリハーサルを欠かさなかったという。著者であり元NHKキャスターの矢野香氏は、リーダーたちが「話す前にしていたこと」に着目。プロの話し手である自身の知見、心理学の見地を織り交ぜて、人前での話し方、ブレゼンのスキルを上げるためのノウハウをまとめた。
私は今、3つの学校で講師をしているので人前で話すことには慣れているが、“場数を踏めばいいという考えは間違いであり、自己流のプレゼンをいくら繰り返したところで意味はない。すべては正しい話し方のルールを学ぶところから始まる”という言葉にはハッとさせられた。
正しい方法論を知らずに、「人前で喋るのが苦手だ」と自分を見限るのはもったいない。話の上手さ、プレゼンの巧みさは才能ではなく習得可能なスキルだと知り、私自身も学ぶ意欲がより湧いてきた。
桝本壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSC(タレント養成所・吉本総合芸能学院)の講師も務めており、令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1に輩出している。