英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第257回。
SNSに届いたイケメンからのメッセージ
私はSNSは見る専門で、InstagramもXもTikTokも、アカウントはあるもののほとんど更新していません。
そんな開店休業中のInstagramのアカウントに、突如知らない人からメッセージが来ました。その人のアイコンは、アジア系のイケメン男性で、私の5年くらい前のポスト(出張中に撮った風景写真)にいいねして、「美しい写真は心を落ち着かせてくれます。この美しい写真の場所はどこか教えてください。私のメッセージがあなたの邪魔にならないことを願っています」と送ってきたのです。
明らかに外国語から日本語に翻訳したような不自然な文章です。しかしアイコンがイケメン過ぎて(BTSのJINに似ていた)、ついその人の投稿を見に行ってしまいました。
上がっているのは花の写真とか、自分の顔写真などで、特に怪しいところはありません。
本当にこの写真の場所を知りたいのか、それとも私と知り合うために、わざわざ不慣れな日本語を使ってくれたのでしょうか。
アメリカ人女子が言った“pig butchering”って?
「返信してもいいと思う?」
そう、日本語ペラペラのアメリカ人女子に相談したところ、こう言われました。
「最初は仲良く会話できると思うよ。でもね、そこからはきっとpig butcheringになるね」
彼女は普段流暢な日本語で話すわりに、肝心なところが英語になってしまいがちで、今回も意味がわかりませんでした。「ピッグ ブッチャリング」と聞こえましたが、一体どういう意味なのでしょうか。
聞いてみたらこういうことでした。
pig butchering=相手を信用させて行う詐欺
butcherはそういえば「肉屋」という意味で、butcheringだと「屠殺」になります。肉にする前に、豚にたくさん餌をあげるところからこの言葉は来ているそうで、詐欺としては金を騙し取る前に何度もやり取りをして、相手を信頼させる手口だそうです。ロマンス詐欺とか、投資詐欺なんかによく使われる言葉だということ。
「最初は写真の話をして、だんだん好意を持たせて、最後は金を貸してくれとくるよ」
彼女はそう嬉しそうに笑います。簡単にイケメンにひっかかった私が愚か過ぎて面白いのでしょう。BTSのJIN似の男性をエサに、あっさり屠殺されてしまうところでした。
しかし1度そのメッセージリクエストを受け入れてしまって以来、複数のイケメン男性のアイコンから同じようなメッセージリクエストが来るようになってしまいました。どれもおそらく日本人ではないアジア系の男性のアイコンで、アカウントに投稿されている写真は全部、花の写真と顔写真。もうpig butcheringだってわかっているのに、イケメンにつられていちいちアカウントを見に行ってしまう自分を、なんとか変えたいです。