英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第255回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
いじわるされた時の大人な対処法
英語能力を少しでもあげようと、X(旧Twitter)では英語のアカウントや、イギリスのニュースサイトのアカウントをフォローして、ぼーっとネットサーフィンしている時でも英語が目に入ってくるようにしています。
とはいえ、最近は英語のポストはスキップして、くだらない日本語のポストだけ見て笑っているような日々です。
そんな怠惰な私でも、ひとつ気になったポストがありました。
Kill them with kindness
ことわざを紹介するポストだったようですが、意味がよくわかりません。
直訳すれば「優しさで彼らを殺せ」となります。
どういうことなのかわからなかったので、How have you ever killed someone with kindness?(今まで優しさで誰かを殺したことはありますか?)と検索窓に入れて検索してみたら、ちょっとだけわかった気がしました。
Kill someone with kindness
=いじわるされたら、仕返しするのではなく逆に相手に優しくする
ということのようです。
検索した結果、いろんな人のいろんなエピソードが出てきました。
ゴミを窓から捨てたり、会う度になにかしら嫌味を言ってくる隣人が突然入院。いつも嫌味を言われていた同じアパートの住民たちは、それでも1匹で家に残されてしまった隣人のペットに毎日窓から餌をやってあげ、帰ってきた隣人は感謝して心を改めた。
コーヒーショップで列に並んでいたら、後ろの学生たちに「どけよ、ブス」と言われ、キレそうになったけど、逆にそいつらにコーヒー奢ってやった。
などなど、まさに「仕返しするのではなく、優しさを見せて、相手をビビらせる」という大人な対処法でした。
大きなため息をしたら、差し出されたソフトクリーム
そういえば私も先日、沖縄出張の際に、似たような経験をした気がします。
那覇から東京に帰る飛行機を待っている間、空港で仕事をしていた時のこと。社員旅行からの帰りであろう団体が私の隣で大騒ぎをしていました。お酒も飲んでいるのか大声で「売店でソフトクリーム買ってきて!」と叫んでいます。
心が狭い&仕事中で余裕のない私は、思わず大きなため息をついてしまいました。
それに気がついたのか、しばらくして社員のひとりが私にソフトクリームを差し出したのです。
別に空港の待合所ではしゃいだっていいし、嫌だったら私が席を変えればいいだけの話です。私のイライラは仕事のイライラも混じっていたわけで、ため息をついてみせたのはちょっといじわるでした。それなのに、見ず知らずのいじわる女にソフトクリームを買ってくれるなんて。まさに「優しさで殺された」瞬間でした。
他には、こんな例もありました。
いつも嫌味を言ってくる女性がダイエットを始めたと知った瞬間、ケーキやアイスクリームなどの差し入れをたくさんするようにした。
これは、優しさを装った単なるいじわる、仕返しのような気もするのでこのことわざの本来の意味とは違う気がします。
どちらにせよ、ソフトクリームですっかり殺されてしまった私は、人にいじわるをしない&されても逆にソフトクリーム買ってあげる、という“Kill someone with kindness”の精神で生きていきたいと強く思っています。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。
「その英語でよく外国に行ったね」「めちゃくちゃカタカナ英語だね」と、なぜか日本人に笑われながらも、覚えたフレーズの数々。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。人のイングリッシュを笑うな。