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2024.05.15

大谷翔平と菊池雄星を育てた名将が、二人に教えた目標設定術

経営者、アスリート、教育者、歴史上の偉人など、成功者と呼ばれる人は困難に直面した時にどのように考え、行動してきたのか。それを知ることはきっと、一度きりしかない人生を自分らしく生きるための学び・教訓となるはずだ。学校では教えてくれない、人生で本当に大切なこととは? 『毎週1話、読めば心がシャキッとする13歳からの生き方の教科書』より、一部を抜粋・再編集して紹介する。第1回の語り部は、花巻東高等学校硬式野球部監督・佐々木洋(ささき ひろし)。【その他の記事はコチラ】

野球ボール
unsplash/lesly-juarez ※画像はイメージ

花巻東高校野球部監督、佐々木洋の人生を変えた一冊の本

岩手の田舎に育ちましたから、遊びも野球くらいしかなくて、周りに導かれるように自然に野球を始めました。

甲子園に出場してプロか社会人で活躍したいと思っていましたが、結局選手として花を咲かせることはできなくて、大学の時に戦力外で2年生の時に寮を出されました。初めての一人暮らしに最初は心を躍らせていたんですが、家具を揃え、テレビのスイッチを入れた途端、急に虚しくなったんです。

悩んだ挙げ句に、それまで活字を見るのも嫌だったんですが、答えを求めて初めて本屋に行きましてね。そこで目に留まったのがナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』という本でした。

そんなわけないだろうと思いながら手に取ったんですが、ページをめくるうちに、自分はそれまで大切なことを教わっていなかったことを痛感したんです。

それまで「夢を持て」「目標を持て」と散々言われてきたんですが、ではどうやって夢や目標を立てたらよいのかということについては、何も教わっていなかったんです。

類書を片っ端から読んだら書かれていることは同じで、数値で具体的に表すこと、期限を決めること、ワクワクする内容であること、紙に書き出すことなどが大事だと分かってきました。

それで、野球選手としてはダメだったけれども指導者として成功したいと思って、「28歳で最年少監督として甲子園に出る」と書いたんです。そうしたらいろんな巡り合わせのなかで花巻東の監督に就任することができて、本当に28歳で甲子園に出場することができたんです。

夢を現実化させる目標の設定法

ですから生徒にも、夢は目標にセットし、詳細に計画を立て、具体的に行動していけば、必ず夢に近づくんだと。

大谷翔平が入部してきた時は、「先輩の雄星さんみたいになりたい」と言っていました。

私は、夢というのは掲げたところより少し下で実現するような感覚があるので、「それでは雄星以下になってしまう。雄星を越えると言え」と指導しました。当時、雄星の投げる球は155キロくらい出ていましたから、絶対に160キロ出せると暗示をかけましてね。

ただ、実際に目標を書く時に、160キロと書いたら158キロになってしまうと心配していたのですが、大谷はもう目標の立て方を心得てくれていて、163キロと書いてありました。

菊池も大谷も、入部してきた時から間違いなくプロに行ける選手でした。そんな逸材が名もない私の所へ来てくれたわけですから、私も生半可な指導をするわけにはいきません。

自分自身にプレッシャーをかけるために、ドラフト1位で送り出せなければ監督を辞めると宣言したんです。それを確実にするために、その上のメジャーへ送り出すという目標を掲げて二人と共有していました。

不思議なことに、その夢もどんどん近づいて、いまでは二人とも海を渡っています。彼らはたまたま海を渡ったのではなくて、高校の時に自ら思い描き、自らの脚で海を渡ったと思うんです。

DIRECTION=藤尾秀昭(監修)

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